An "I " Novel from The City Of Angels

Diary 『バンコク在住日本人ギタリストの日記』

眠れない夜

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早い時間に寝てしまって真夜中に目が覚めた。明日…というか今日はセッションがあるもので昼夜働いている状態になるし、木曜金曜もけっこうなスケジュールなのでがっちり寝るべきなんだけど、届いていたメッセージに返信しているうちに完全に起きてしまったものでもう無理だ。あとは気合で乗り切るしかない。

明日のSMALLSでのセッションはStylish NonsenseにGOLF T-BONEも加えたいつもの4人編成になった。この面子でやるセッションもそろそろ数をこなしつつあるので、何か次の展開が生まれる匂いがしている。数年前のこの街にはフリーフォームのインプロのライブはほぼ無かった。唯一それをやっていたスタイリッシュナンセンスのふたりに声をかけて12×12でのセッションを開始して、一昨年にゴルフさんに出会ってからも各々が演奏の機会を持ち寄る形で少しずつ演奏機会を増やしてきた。

昨年あたりからいろいろな場所での演奏機会が増えつつあるのは面白くなってきたという証拠だろう。それも、最初はミュージシャンでもある観客を相手に演奏しているような場面がほとんどだったが、ここ半年は普通のお客さんに対して演奏する場面が増えていて、これは凄く良い傾向だ。やっと始まったのかな…?と言う感じだ。3人だけでアプローチしていた頃はかなり試行錯誤していた。迷走していた時期もあって、あまりに意味不明すぎて12×12のヒロシに『もう少しわかりやすくしてくれ』と怒られるくらいわけのわからない音になっていた。ただ、何でもありが基本の音楽なのでやり続けることでクリアしていくしかないので音楽的な話し合いは皆無だったが…(笑)

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『良い音はどんな人にとっても良い音だ』と思っている。なので、常に良い音楽を奏でて心を開いていればそれが抽象的であっても伝わるものだ。心を閉じてひとりで弾いてしまうとただの発表会になってしまってせっかく来てくれた皆と感覚を共有することができない。様々な場所で様々な人を前にして曲の無い演奏をやり続けながら感じた実感なので間違いない。歌もない、曲もない演奏をやっている奴らが自由に表現する歓びを伝えなかったら観客は『何を楽しめば良いんだ?』ってな感じになる。それでは遺憾。

演奏に関するあらゆることはミュージシャンの個人的な問題で日々のトレーニングでしか解決しない。一番大事なのはライブにおいてその場にいる全員を意識の中に置くという一点に尽きる。なので、日々トレーニングをした上で、日々の中で作ったすべてをライブの前に全部捨てる。自分の部屋やスタジオとライブ会場では状況がまったく違うわけで同じ音になるはずがない。即興である限り当たり前の話だ。

誰も知らない音楽はスタート時に全員が同じところに立っているという意味で分け隔てなく平等。毎回ゼロからのスタートだ。どんな場所でも、どんな人がいても、演奏者ですら何が生まれるか知らない。俺達は同じ空間に集って音楽が生まれる瞬間を共有する。とてもシンプルで良い。

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音楽は知れば知るほど素晴らしい。無限だ。ただ、昨今はビジネスに取り込まれ過ぎている。学校も基本はクソだ。若いミュージシャンの発想の多様性が花開く前に殺してしまう。若くて腕のあるミュージシャンたちから、ビジネスモデルにハマるように計算された作品制作のプランを聞く度に心底がっかりする。それはただのビジネスの話だ。先ず自分の理想とする音楽があってそのあとに全てが起こるべきなのだ。情熱と衝動によって作品は作られるべきで、マーケティング先導で作られるものは音楽とは言わず製品とか商品と呼ぶ方がふさわしい。卵と鶏みたいな不毛な話なのかもしれないけど。

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さておき眠れない夜に思うのが愛しい女性のことではなく音楽の話ばかりってのも人としてどうなのかね…やっぱり音楽は不治の病やな。