An "I " Novel from The City Of Angels

Diary 『バンコク在住日本人ギタリストの日記』

新章開始

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今日はとても良い天気だ。陽射しは強いけど爽やかな風が吹いている。タイに旅行に来るには最高の季節が始まったようだ。食事を買いに出て近所を歩くと気持ちが良いので近所のみんなが日陰に座って思い思いの恰好でおしゃべりをしている。子供たちが騒いでいる横を犬や猫が人間と同じテンションで普通に路地を歩いてくる光景が好きだ。愛らしいので立ち止まって笑いながら眺めていると、すれ違う時に『なに?なんか用?』という顔で俺を見て歩き去っていく。彼等は毎日会う俺を見えないもののように扱う近所のミャンマー人達よりは生き物として認識している。

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買い物から帰って来て洗濯物をランドリーに放り込んで部屋に戻って英語の勉強でもするか…と映画を検索したらAfro Samurai という面白い作品を見つけた。サミュエル・L・ジャクソンがプロデュースと声優をしているそうだ。実写化の話もあるようで実現したら面白そうだ。日本の漫画は面白いが今の流れで行くと消えてしまうような気がする。インターネットは旧文化をすべて破壊しようとしているようだ。

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10月も終わりだ。タイに来ることになる理由であったプロジェクトは到着後数カ月で頓挫し、自分で仕事をさがして生き延びたがその後も結局何も起きず、5年経った2016年にこれ以上従うのは俺の人生における時間の無駄…ということでプロジェクトを終了しようという話の為に帰国したのが2年前の今頃。よく考えたらもっと早い決断で良かったが、日本を出るときに『退路を断って行け』という気合の入った言葉に従って仕事用の機材や音楽制作用の機材をほぼ処分して出て来たので、柄にもなく真面目に耐え忍んでしまった。この5年間で学んだことはただひとつ。自分の進む道は自分で決めるべきってことだ。当たり前だけど自分以外は言うだけで責任を持ってはくれない。信用して委ねた結果は時間と金と積み上げた実績を無にしただけだった。失敗するならば己の失敗で苦しむ方がまだ納得ができる。要するにハッキリ言って失敗だった。

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あれから2年経って最低ラインまで復帰した。あくまで最低限だが…今思えば一時はかなりヤバい精神状態になっていて危なかった。完全に病んでいた。ツアーの途中に丸一日時間が空いた時に今後の生活について考え出した自分に気づいて『あ、戻って来たのかも』と思った。ここからがやっと始まりになる。生き延びてどうやって展開していくかを考えられるようになったのはひとえに友人達のおかげだ。ここまでが酷い時間だったのか必要な時間だったのかはこれからの人生で判明するので、あまり振り返ることはせずに次のことを考えるのが良いだろう。サポートしてくれた皆さんの心意気に報いるにはとにかくまだまだ結果が足りないのである。

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止まっていた時間を動かすにはどこから始めればよいのか…なかなか難しい。