An "I " Novel from The City Of Angels

Diary 『バンコク在住日本人ギタリストの日記』

次はタイ語か…

 

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バンコク郊外の川沿いにある雰囲気の良いLIVE BARを見つけたのでメッセージを作って送ってみた…が反応なし。バンコクの中心部の場合ある程度英語のメッセージでOKなので3年間で自力でやりとりできるようになったが、次はタイ語の読み書きか…これはかなりレベル高い。いつできるようになるんやろ。

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タイ人のギタリストのNAINOIさんとGOLFさんのデュオがタイ北部をツアーしているのでイベントのページをチェックしているが、当たり前だけど半分以上はタイ語だけのページだ。一応タイの文字の読み方はこちらに来た時に一度憶えたんだけど、文章を作るには程遠い。最初は誰かに手伝ってもらわなしゃーないけど、今後もこの国で弾き続けるならば自力でやらなあかんやろな。タイの人はおしゃべりが好きだしMCもいるやろし喋りももう少し達者になる必要がある。ここに来てからずっと勉強してるなぁ。外国やから当たり前やけど。

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今月は6本のライブが決まっているけど今週は1本も無し。毎週2本年間100本超のスケジュールを入れるのが目標だけど、相手のあることなので俺の都合だけでは進まない。突然連続で入ったりぜんぜん入らなかったり。数やればいいのか?っていう奴もいるけど、やれるものならやった方が良いに決まっている。人間には寿命があるので時間は有限だ。どうせなら死ぬまでにできるだけたくさんの人と会ってみたい。

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来週はGOJAで日本人DJのYOSHIZAWA aka DJ TORUとチルアウトセッション。気楽にいろいろな音を繰り広げる感じだ。GOJAにはよく立ち寄るしトール君とはもう長い付き合いになりつつあるが、飲んでばかりでセッションするのはかなり久しぶりなので楽しみにしている。

GOJAのお客さんたちは20代~30代前半って感じでタイ人、アジア各国、欧米人等々入り混じっていてみんなアートや音楽やスケボーが好きで好奇心に満ちていてみんな可愛らしい。日本人も多いしカウンターにいるレックちゃんとプラーちゃんの姉妹も優しくてフレンドリーなので旅行者でも気軽に行ける場所だ。GOJAのあるプラカノンというエリアは最近新しいお店が増えてきて賑わい始めている。ギャラリーカフェなので気軽に行けますよ。近場に行ったときは是非。

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GOJAで会ったアーティストで一番印象に残っているのは lee こと Asano Ryuhei 。音楽もやるのでセッションして楽しかった。残念ながら日本に帰ってしまって最近は会えていないが、彼の音源は今でもよくチェックしている。 

俺はHIP HOPについてぜんぜん詳しくないのだけど、巷で Abstract Hip Hop と呼ばれていた音楽はとても好みらしく、ネット上の特集記事などを読むと今まで意識せずに聞いていた作品の中にそれが多数含まれている。間違っていたら申し訳ないが、アサノ君の作品もその系統に属していると思っている。個人的には選ぶパーツの面白さとその配置の妙が気持ち良くて、音楽を勉強したミュージシャンには逆に作るのが難しいだろうし、DJにしか作れない音楽ってのが確かにあると思わせてくれるところが良い。

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まだまだ続くよサバイバル生活

ハテナブログは動きが遅すぎるし写真がアップロードできないことが多々。一枚上げるのに5分以上くるくるした挙句アップロード失敗。ぜんぜん使えねえ。アパートのネット環境の問題にしては他にまったく問題が無いのでおかしい。どないなってるんやろな。さくさく書けないのストレスだ。さっさと変えるべき…?とりあえず今日は主題はない。つらつら書いていく。

 

3月末のトラブルに端を発したサバイバル生活はまだ持続中。このまま順調に何も起こらずにいっても平時に戻るのは8月くらいかな…とりあえずビジネスビザと労働許可証は取得できたので、その為に働きつつ夜は相変わらずギターを弾いて歩いていればなんとか生き延びられる予定ではあるが、日々どんどん痩せていく。大丈夫なのか俺の身体…。とにかくあと2カ月ほどは倒れられない。

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ブッキングは少しずつ進んでいるが、ここ2カ月ほどはソロではなくてセッションユニットへの依頼が活性化していて、日程調整や条件決めやらに追われる感じになっている。過去のライブ動画を誰かがシェアすると、それを見た誰かが出演について問い合わせてくる…って流れである。ソロとセッションは基本お呼びのかかる場所が違うので気分が変わっていいが確認事項が多くて正直面倒くさい。

ほぼ全部が即興セッションユニットでバンドではないので、普段一緒に何かをやっているわけではないし、一緒に遊ぶわけでもない。おまけに俺たちを呼ぶ連中はメインストリームの音楽が好きじゃないアンダーグラウンド系の変人が多くて、お客さんを持っていないのにただただ自分が呼びたいだけってパターンがたまにあるので、行ったはいいけど真夜中出演でノーギャラでほぼ客無しでたまにいるのはドロドロに濁った眼をしたジャンキーで店のスタッフから冷たい目で見られるっていうグダグダで悲惨な状況を避けるために事前の調整や話し合いは必須なのだ。何度かそんな状況に放り込まれたことがあるが、あれは悲惨すぎる。俺達は演奏に行っただけで基本関係ないのに悪い印象しか残らない。その状況ではテンションの上げようもないので何ひとつ良いことが無いのである。危ないかどうかはやり取りを2,3回するとすぐわかる。

 30代の頃に2年間ほどアングラミュージシャン達と病気じみた暗黒セッションをしていた時期があったが、あれは遺憾。音は嫌いじゃなかったが、ビョーキみたいな音を出しているとビョーキの人やアブノーマルな皆さんが集まってしまっていろいろ怖いことになる。俺はけっこう普通の人なのだなと日々思い知らされた。最終的に向いていないと悟って止めた。今はニュートラルな感じでお客さんもいろいろな人がいて幸せに弾いて歩いている。あのまま進んでいたら今頃どうなっていたのか…考えたくもない。

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昨今バンコクでイベントによってはセッションのオーガナイザーみたいな立ち位置になることも少しずつ増えているが、好きでやっているわけでもない。この街にはフリーインプロやノイズ系の音楽をやっている奴が極端に少ないので俺の存在が見えやすいだけだ。東京や大阪ならマニアックな連中が履いて捨てるほどいるので俺には話は来ないはず。正直、俺はアングラ趣味でもないし、そないにマニアックな音でもない。自分の良いと思う音を出したいっていういたってシンプルな目標で動いているだけなんだけど、自分の為に流れを作る必要があるのでなんとか小さいシーンみたいなものを成立させようと足掻いている感じだ。神戸にいる頃も同じような足掻き方をしていた。弾く場所がないなら自分で作ってやろうって感じだ。

3年以上経つと、出会った頃は子供だったミュージシャン達も才能のある奴らは急成長して凄い音を出すようになったりメインストリームに出ていったりしていて、俺は俺で地道ながらもやるところが増えていったりして以前よりは楽になったし良い状況で演奏できることが増えた。グダグダな運営だったイベントもオーガナイザーが少しずつ成長してマシになっていたりもする。場が整うとお客さんの流れができてくる。居心地の悪い場所に人は集まらないものなので、自分の事しか見えていないただやりたいだけの奴は自然に淘汰されていく。これもまた音の話ではない。性格とか心の持ちようの話だ。音楽性は勝手に考えて自分で追い詰めればよい。良けりゃ生き残るしダメなら弾く場所が無くなって消える。上手い下手も関係ない。重要なのはコアなものを持っているかどうかだ。俺よりスキルのある奴はアマチュアにも山ほどいる。スキルは必要だがオリジナルをやる場合は最重要事項ではないのだ。メジャーだろうがアンダーグラウンドだろうが結局ライブミュージックってのはお客さんが聞いてくれないと成長しないし存在する意味がないと強く感じる昨今だ。身内でぐだぐだ言ってるよりは人前に立って評価される方が話は早い。

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2カ月ほどヨーロッパツアーに出ていたスタイリッシュナンセンスのふたりが帰って来た。今度パーティーで一緒になるのでどんな刺激を受けてきたのかライブを楽しみにしている。タイの音楽シーンを知れば知るほど、このふたりと5月にドイツに移住したスティッキーライスのフロントマンPookがどれだけこの国のシーンにおいて特異な存在なのかがわかる。おもろいやっちゃ。

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今の俺だからこそわかること

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少し前にバンコクのホテルの屋上のルーフトップバーでの演奏を依頼された。俺がメインでもうひとり日本人DJは誰かいないか?と言われたので腕が良くて空気も読める若いDJを紹介した。最終的に店のマネージャーが『ミュージシャンはいらないんじゃない?よくわからない音楽だし。DJだけで充分だよ』と言って俺はカットされた。会話の内容は想像だけど、内容はほぼあってるはず(笑) いろいろなBARのイベントにミュージシャンをブッキングする仕事をしているニュージーランド人のその若い友人が、『すまない。俺はKOTAの音楽がめちゃ好きだからマネージャーにビデオも音も聞かせたんだけど…またイベント用意するから許してくれ』と謝って来た。『別に問題ないよ。気にするな。向こうの望んでいることは解るし、謝る話じゃない』って返したんだけど、彼はとても素直な男なので、前回彼の頼みで出たイベントでお客さんがかなり盛り上がったし、いつもほぼ無償で友達としてヘルプしてるのでたまにはいいギャラの出る仕事を…と張り切ってくれたのが結果カットで気にしているようだった。残念ながら俺をブックする場所を間違っただけで気持ちは受け取ったので本当に問題ない。 観光地バンコクスクンビットエリアの洒落たルーフトップバーのクソ忙しいマネージャーにとっては、音楽は基本なんでもいいのである。予算内でお客さんがゆっくり飲めて盛り上がることもできていろいろな雰囲気を味わえて…ってことだ。この仕事にはDJの方が向いている。もしくはヒット曲を歌う歌手やスタンダードをやるミュージシャンだ。誰も知らない音楽を演る男をそこに置くのはリスクでしかない。正直、俺がマネージャーでもそう考えるだろう。当たり前のことである。もし、万が一ここで冒険をしてくれるマネージャーがこの街にいるならば、もちろん俺は面白がってその場に向けてできる限り良い音楽を演奏する努力をするだろう。でもそれは状況的に難しいし、無理してやる必要もないことだ。

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そう話した後でもまだ気にしているようだったので、最終的には『俺はこんなことで傷つくほど若くないし、自分のブッキングは自分でやってるから本当に気にしなくていい。DJが必要なら日本人の腕の良い奴を紹介するし、俺の演奏が必要なときは言ってくれたら行く。これはFriendshipだ』と伝えた。ブッキングも俺ひとりでやるより誰かが話を振ってくれる方が選択肢も増えて充分ありがたいし。今日はそんなこんなで1本消えたけど自分で3本決めたし、過去に受けたオーディションでも受かったり落ちたりボロカス言われたりもしてるし、そんなことは本当にどうでもいいのだ。基本的にこれは音楽の話ではなくて仕事の話なので向こうにもいろいろ都合がある。この街だけでも本当にたくさんのスタイルのミュージシャンがいるし、俺は人の曲をほとんどやらない我儘ミュージシャンなので本来は断られて当たり前。通ったらラッキーってな感じだ。

バンコクで出会った俺の若い友人達はだいたい心根が良い。バンコクの夜を泳ぐには気が良過ぎるかもしれないけど、少々段取りやらグダグダでも最終許せるのは、まだ音楽に夢を見ているかわいいところがあるからだ。厳しい世界やけど、みんながんばっていきましょう。いいこともあれば悪いこともあるさ。

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若いミュージシャンはこういうことを拒絶されたと受け取ってとてもナーバスになったりするけど、必要以上に気にする必要はない。世界は広くていくらでも弾く場所はある。音楽に興味のない人もいれば人生の真ん中に音楽を置いている人もいる。自分の音を追いかけて、諦めずに手を伸ばし続けることが一番大切なことだ。

 

ずっと人前に出て弾いてりゃ細かいことはどうでもよくなる。

長年さらし者になってきた俺の心臓には既に剛毛が生えていて今では何も感じない。

across the border

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Photo วัดพระปฐมเจดีย์ราชวรมหาวิหาร Nakon Patom 

SNS等は問題なかったけどなぜかブログだけ写真があげられなくなってちょっと更新が止まってしまった。一昨夜はナコンパトムで演奏した。もうめでたくもないがその日は俺の誕生日だった。ナコンパトムはバンコクから車で1時間ほどの場所にある 世界最大の仏塔 と、美術と考古学で有名な シラパコーン大学 のある街だ。良質な豚肉でも有名らしい。残念ながら慌ただしくて食べられなかったけど。

1年ちょっと前に仏塔を見に行ったことがあるが、ライブは初めてだった。少し前にピン・クラオの The Overstay のイベントで共演した若いロックバンドのドラマーが俺の音を気に入って呼んでくれた。雨の金曜日でバンコクは名物の大渋滞だった。間に合わないかとバタバタしたが、アパートの近所のおばちゃんやその友人のタクシー運転手の親切のおかげでなんとか間に合った。

会場の Light My Fire https://www.facebook.com/LightMyFirePage/ はとても良い雰囲気の店でたくさんの音楽の好きな若いお客さんが集まってリラックスして楽しんでくれた。最後は共演したバンドとRock'n Rollをセッション。明るくて良いイベントだった。アーティストやミュージシャンを目指す学生が多い街ってのもあって、バンコクでのライブより一生懸命聞いてくれている感もあった。移動でバタついて疲れていたが、良い空気に触れると自然と機嫌が良くなるもんで、写真の俺はわかりやすくご機嫌な笑顔。帰って来てからFBにこんな感想を書いた。

昨夜のライブは会場にいた人が俺以外みんなタイ人だった。バンコクでライブ活動を始めた時から、タイで活動するからには昨夜みたいな景色を見たいと思って弾いていたので、帰りのタクシーの中でとても幸せな気持ちだった。最近少しメロディアスなアプローチをしているけど結局ほとんど即興演奏だったし、初めての場所で俺の音をほぼ誰も知らない状態なのでちょっとした緊張感があったんだけど、何か伝わったってことは空気でわかるもんだ。正直ホッとしたし嬉しかった。

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かなり若いんだけどブルースロックのカバーとオリジナルをやっていた。俺がガキの頃に先輩達に教わったような曲だ。みんな演奏力はかなり高い。

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店先にスピーカーが吊ってあって結構な音量が出ている。演奏が終わってから外に出たら道を挟んだ別の店のお客さんから拍手をもらって後程FBにメッセージが届いた(笑) 日本だと近所の店に通報されて即アウト。少しずつ厳しくなってるけどタイはまだ寛大。

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バンコクは外国人がとても多いので、客席がタイ人ばっかりってことはなかなかない。特にオリジナルを演るイベントでは必ず外国人が混ざっている。会場に俺以外100パーセントタイ人のお客さんという状況は本当に初めてだったんじゃないかな…なので本当に印象的だった。終わってからも閉店までお客さんや共演したみんなと話したりしながら平和に過ごせたし、記憶に残る一日だった。

 

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友達に向けて演奏するな!

昨夜もBARにたまたま居合わせた若い友人に尋ねられて同じ内容を話したが、俺はバンコクではセッション以外では最低限しか日本人と組まないようにしている。理由は単純でここがタイだからだ。外国で同じ国の人間で固まっていると輪が固く閉じてしまう。この状態でイベントを繰り返すと右肩下がりになるし、他の国の人にすれば居心地が悪いので集客に良い影響はほぼない。日本で活動している時もジャンルごとに固まって閉鎖的になっていくのが嫌で、今と同じように意識してひとりでアウェイに出向くという動き方をしていた。群れが好きじゃないっていう偏屈で面倒な性格のせいももちろんあるとは思うけど、友達の為にだけ演奏していると自然と『身内受け』を意識した威力の無い音になっていくのが嫌だ。とにかくこれが一番最悪だ。

過去にそうやって音楽を始めた頃に持っていた無垢な輝きを失くしていったミュージシャンを何度も見た。『学生の部活やサークル活動みたいな音楽をわざわざ会場に足を運んで金払って見たい奴がいるか?なんでオリジナルを作り始めたのか思い出せ!』と何度も言ったことがある。ガキの頃はのぼせ上って 俺 vs 世界くらいの気分だったはずだ。いわゆる中二病みたいだけど、やるからにはこれが正解だ。いつの日か俺がこの気持ちを失くしていることに気づいたら、その時点で演奏活動を止めようと思っている。

ちなみにあくまで心意気で実際に傲慢に振舞えという意味ではない。それをやるとほんまの阿呆で鬱陶しいだけなので、あくまでこれは心意気の話。

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もちろんバンコクで活動している日本人のDJや楽器弾きの友人やオーガナイザーには活動初期からいろいろサポートしてもらっているし、きっかけをもらっているのでとても感謝している。必要とあらばいつでも貢献するつもりだ。ただ、本当の意味でイベントに貢献するってのは俺が演奏することでその場に新たな交流が発生することだと思っている。最低限その集団ににとって異分子/非日常であることも必須だ。これは色々な場所で演奏して結果を出して名前を売ることでしか実現できない。その為には常に友人の輪の外側に意識を向けて腕を磨いて輪を広げ続けなくてはいけない…とか偉そうなことを書いてはいるが、俺は既にがっつりおっさんなわけで、華はないし愛想もないのでものすご~く地味な歩みにならざるを得ない。なので、貢献するにはまだまだ足りてない感は正直めっちゃある。兎に角、これからも精進することだけは約束するので、必要だと思えば呼んでください。

本日は以上。

出会いはいつも突然だ

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昨夜は急遽キャンセルの出た友人の主催する小さなイベントに助っ人で出演した。SONGWRITERS NIGHT というイベントで、会場はプラカノンというエリアにあるMA RUMBAというオーセンティックなBAR。お客さんはほぼファラン(欧米人)とタイ人で、前回と違って日本人はひとりもいなかった。

イベント名の通り俺以外は歌い手ばかりだった。BARの2階の会場は程よく小さくてみんな肩寄せ合ってリラックスして歌を聞いていて、アットホームな雰囲気が弾き語りが良く似合っていた。俺は急に参加したエクストラなので最後にゆるやかでメロウなセットを…と思っていたが、真夜中近いのにお客さんもけっこう残ってくれていたので、なんだかんだで結局いつものように少し激しい場面もありつつの30分のソロセット。

毎回目の前のお客さんを気にしなくてはいけないと思うのだけど、集中していると顔を見るのを忘れてしまう。ギターを弾きながら3台のループマシンの操作をするのはかなり忙しいのでどうしても必死になってしまう上に俺は一切 MCをしないので、愛想がないことこの上ない。エンディングのアルペジオを弾きながら、『しまった…お客さん気にせずに一気に弾き切ってもた...』と思ったが、最後のコードを弾いた瞬間にたくさんの拍手をもらえてホッとした。

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『なんで穴埋めの急な出演とか引き受けるの?』と不思議がられることもあるが、基本的に俺を知らないであろう人が集っている場所ならば意味があるので時間と体力が許す限りは引き受けることにしている。聞いてもらうことに意味がある。部屋で弾いていてももちろん誰も聞いていないわけで、小さいイベントでも誰かの為に演奏する方が良いに決まっている。あと、バンコクはタイの首都で東南アジア最大の都市だ。小さなイベントにこそ面白い出会いの機会が待っている。大きなイベントはとにかくカオスなので誰かと話をする機会は無い。

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昨夜の演奏が終わってから皆が声をかけてきてくれた。バンコク在住のアメリカ人フィルムメイカーが映像作品に使いたいと熱く語ってくれて連絡先を交換したし、カンボジアの美しい島Koh Rongでフェスティバルを主催している男性は、今日になって2018年4月のフェスティバルにブッキングしたいというオファーのメッセージをくれた。小さなイベントでも急な話でも弾き続ける理由はこんな出会いにある。音楽は一瞬で国境を超える。新しい出会いを得て旅は続くのである。

明日はアート系のイベントで45分ソロ ×2セット。今からベーシックを洗いなおす。

楽しんでいってみよう ♪

写真)クアラルンプール、チャイナタウン

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先週火曜日の夜からビジネスビザ取得の為にマレーシアの Kuala Lumpur にあるタイ大使館に向かった。先々月からの就職のゴタゴタで出入国による旅費が嵩んで死にそうになっているので、今回は飛行機を諦めてバスで向かうことにしたわけだが、往復50時間以上の連続バス移動は想像以上にきつかった。もし時間に余裕がある場合は先々で宿泊しながら進んでいけばとても有意義で良い旅になると思う。バスが進んでいくにしたがって人種、文化、宗教の混ざり具合が変わっていって日本では見られない大陸の光景が楽しめる。

 

写真)ハジャイのバスターミナル

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詳しい理由はわからないが今回入社する会社の規定で Kuala Lumpur、もしくは東京、大阪でのみビザを取得できるという条件だったのでバンコクから一番経費の掛からないマレーシアに初めて行ったが、ムスリムの国なので仏教国タイとはかなり文化が違う。国境の町HAT YAI (ハジャイ)に着いた時点でヒジャブ(イスラム教徒が頭を覆う布)姿の女性がものすごく多くて、タイ仏教様式のお寺もあまり見かけなくなり既に別の国のようだった。タイ南部は日本大使館から渡航注意の勧告が出ている危険な地帯で日常的にテロが多い。俺の行っていた時期にも小さな爆弾テロがあった。宗教による文化の違いという意味ではマレーシアといっても良い地域でタイ政府もあまり良い扱いをしておらず、常に揉めている理由はそのあたりにあるようだ。通過しただけなので危険なことは何もなかったし現地の人も少し荒っぽいけど皆親切だったが、バンコク以北との雰囲気の違いは肌で感じることができた。

 

写真)KLセントラルの路地

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マレーシア入国からクアラルンプールの街までは9時間ほどかかった。とても自然が豊かな国で地域によってココナツ畑ー水田ー果樹園ー工業地帯…という感じで良く整備されていて道路もゴミが少なくてとてもきれいだった。カンボジアプノンペンからバスで帰っているマレーシア人のDinというおっちゃんが隣の席で、暇なのかずっと通りすがりの街について説明をしてくれたので退屈しなかった。ただ、どこに行ってもハエが多くて屋台等はかなりヤバい。途中休憩に寄ったドライブインで、でっかいハエのたかった料理を食うのはなかなか抵抗があった。かといってなにも食わないわけにもいかないので、嫌々食っていたわけだが、結局お腹を壊すこともなく無事帰って来たので、そういう意味では俺には結構耐性があるようだ。流石に水には気を付けたが…。そんなこんなでとにかく時間はかかったが問題無くクアラルンプールに着いたが、予約したゲストハウスをさがすのにチャイナタウンを2時間ほどさまよう羽目にはなった。1軒だけ雰囲気が違って浮いていたレゲエバーを見つけて、スタッフの親切な兄ちゃんたちのおかげでなんとか目的地にたどり着いた。その後の手続きはほぼ問題なかった。東南アジアの街中は日本よりFree Wifiが充実しているので、情報を得るのが容易い。目的地へのポイントをメモさえしておけば、あとは通行人や駅のスタッフとコミュニケーションをとるだけでなんとかなる。アジアの人は基本親切で目に見えるような差別もないので、大概の人は尋ねれば答えてくれるし案内してくれるケースも多い。たまに悪い奴もいるのでそこだけ気を付ければよい。 

 


到着した次の日に大使館でビザを申請して、その次の日には受け取り。書類は揃っていたのでこれも問題なし。ただ、大使館でのやり取りには少しだけ英語ができないとバタつくかもしれない。とにかく無事にビザを受け取って電車で帰路のでっかいバスターミナルへ移動。前日にチャイナタウンの旅行社で帰りのバスの予約を頼んだが、向こうの英語が怪しくて案の定、日にちを間違えていた。カウンターで代わりのバスをさがしてもらったがその日の分は満席で次の日の朝の便になった。仕方ないのでセントラルステーションに戻って駅の周りの安宿をさがして泊まった。改築に次ぐ改築でビルの内部が迷路のようになっていて、火災が起きたら死ぬなぁと思ったが予定外の宿泊だったし予算の問題もあるので諦めた。

 

写真)クアラルンプールのバスターミナル(TBS)

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クアラルンプールからタイ国境に向かうルートは大渋滞していた。行きは9時間で着いたのだけど、帰りは12時間以上かかって午前8時に出発してハジャイのバスターミナルに着いたのは午後9時前。国境を越えてからバスターミナルまでの道もけっこう渋滞していたのでバンコク行のバスに間に合わないと踏んで、ミニバスはあるかとか国道でトラックをヒッチハイクできるかとか駅まで行って列車の有無をチェックするかとかいろいろ考えていた。バスターミナルに着いてバスから降りて走ってチケットカウンターのお姉さんに『バンコク!帰らなあかんねん!』と日本語で捲し立てるとおばちゃんがやれやれという表情であちらだと指さすので走りながらバンコクバンコクと連呼して、振り向いた若い兄ちゃんを掴まえてターミナルの外にあるカウンターに案内してもらった。

『Ticket to Bangkok!! From now !!』
『OK.10 min' later. Hurry up !!』
『Thanks !!!!』

…ってな感じで携帯の充電もできず飯も食えず水も買わずでそのままバスへダッシュ。けっこう空いていたのでゆっくり座れて助かった。

バスに乗ってる間は何もすることがなかったので、帰ってすぐに出演するライブセットのシュミレーションを作っては壊し作っては壊し…帰路の間にノート2ページほどびっしりメモを書いた。バンコクの部屋に戻ってビールを1本飲んで倒れるように寝て起きてメモを見直したら、もうすっかりそのセットには興味が無くなっていた(笑)

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ライブはローカルエリアで開催されたが日本のバンド2組とタイのアーティストと俺の組み合わせで日本人客が多くて不思議な感じだった。とりあえずイベントが無事終了して帰ってからひたすら寝た。長時間の移動はやっぱりしんどい。飛行機って値段の分楽だわ。

 

さっきバンコクから日本に移住して高校の先生をしているアメリカ人ASIAから近日バンコクに遊びに来るというメッセージが届いた。日本はとても良い国で快適に暮らしているけど北朝鮮の核問題を心配していると書いてあった。ここで暮らしていると日本にいる頃とは比べ物にならないくらいたくさんの国の人と会うが、大概は良い人間で個人レベルでは争い事をほとんど見ない。基本的には戦争は憎しみから始まるわけではなく多国籍企業の経済活動の為に勃発するのだということを感じている。北朝鮮に関しては国のシステムが特殊過ぎるので理解するのが難しいけど…。

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情報過多は想像力を殺す

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これから書くのはあくまで個人的な感想やけど、ケミカルブラザース、アンダーワールド、ファットボーイスリム、レディオヘッドビョーク等々の90年代のビッグアーティストが2017年現在も相変わらずロックフェスのヘッドラインってのは違和感がある。時の流れが止まってしまっているみたいだ。俺は世代的にもちろん大好きだけど、もう2017年だ。閉塞感が強すぎて俺の好きなスタイルの音楽の時代は終焉を迎えるのだろうと思うと悲しくなる。もう既に終わってるのかもしれんけど、好きなので生きてるうちは希望を持ちたいもんである。だがしかし、そう遠くないうちにPC MUSICに負けて絶滅してロックはサンプリングネタとしてパーツの一部としてだけ扱われるようになるんだろう。ディストーションギターリフの前時代な空気感が欲しいよね…的な使われ方だ。何もかも薄く軽くなっていく。カート・コバーンの死後、心を揺さぶられたロックスターは皆無だ。もちろん素晴らしい作品にはたくさん出会ったけど、心を撃ち抜かれるような存在は出現していない。

個人的にはロックバンドは2000年以降ほぼ進化していないと思っている。細分化が進んでより音楽的により繊細により先鋭的になったが、ロックンロールがダンスミュージックであった頃に多種多様な観客を魅了していた『強大なエゴが放出するでたらめなエネルギー』を失くしてしまった。初期衝動を失くして頭で考えて作る音楽になってしまった時点でロックは存在意義があやふやになってしまった。結果、中途半端でうるさい音楽よりも観客に快楽を与えることに特化したダンスミュージックが世の中のメインになっていったってのは納得できる結果だ。コアを失くした音楽は美味しい部分だけを商業音楽に吸収されて消えていく。機材の進化とネットでの情報共有でアンダーグラウンドミュージシャンの裾野が広がった結果、ハードコアな次代の音楽を生み出すはずのアンダーグラウンドシーンまで存在意義が曖昧になって衰退しているように見える。例えば日本のノイズシーンは未だに俺の上の世代がイベントのメインを張っている。要するにおっさんばっかりだ。おっさんの方が今の子供より野放しで育ってきているので現代の若者よりエゴが強いんだろう。楽器弾きは先人の作った膨大なフォーマットを学んでそれを消化して演奏して生活の糧を得るだけで精一杯だ。技術があるのに自分の音楽のイメージを持つ余裕がないしそれを生み出す時間もない。情報過多は想像力を殺す。結果、同じようなフォーマットの同じような音楽が作られる。クリエーターは鈍感で自信過剰な阿呆の方が良い部分もあると思う。

俺の人生を変えたパンクに至っては最早ファッション用語的な意味合いで使われている事の方が多い。悲しいが突出した個性は子供の時点で矯正もしくは排除されてしまう昨今、パンクスという種族が存在すること自体が難しいんだろう。とりあえず懐メロでもいいから長生きしてくれ Iggy。最初にライブ映像でIggy Popを見た時の衝撃、パンク専門のレコード屋でチン〇丸出しで歌っているレコードジャケットを見つけた時の驚きは一生忘れられないだろう。まだ世間知らずだった俺は、『こんなんしてええんや!!すげえ!!』と思って人生を踏み外したわけだが、まだ後悔はしていない(笑)

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フリーの即興ジャムセッションの時に良くある会話。

『何をしたらいいですか?』

『フリーだから何をしてもいいよ。ルール無し。やりたいようにやって』

『え!無理です!何をやったらいいか指示してください』

『指示したらフリーじゃないじゃん。じゃあ、誰の音もフォローしなくていいので、まず自分の一番得意なことをやって、その後は気分次第で』

『それじゃ演奏が合わなくないですか?』

『合わせなくていいんだよ。みんな好き放題やってりゃそのうち合う時が来るから。もし合えばその時は今まで聞いたことのないバランスの新しい音楽になる。ただ、やるからには思い切りやってね。じゃないと悩んだ音になって見てる人が退屈するから』

『思い切り好きにやる… 私にできるでしょうか?』

『人それぞれやからやってみないとわからないね。極端な話をすると、何も出てこなけりゃ弾かなくてもいいよ。カウンターで演奏見ながら酒飲んでてもかまわない』

『はい … あぁぁできるかなぁ(頭を抱える)』

同じような会話を繰り返しつつ、来る前に心構えだけでもきっちり作ってきて欲しいなと毎回思う。ステージで悩むくらいなら断ればいいのだ。だいたいは向こうから参加したいと言ってくるんだし、最低限のコンディションは作って来るべきじゃないかな。スポーツ選手が試合前にトレーニングをするのと一緒だ。臨機応変に動けないと試合にならないわけだし。

フリーはフリー。曲は曲。アプローチが180度違う。セッションの後で興奮できた奴は自分の中になにか表現したいことを持っている奴だ。そうでない奴は曲をしっかり演奏するのが良い。フリーのセッションができなくても生きていくのに何も問題はないし、何事も中途半端が一番よろしくない。

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最近リッチなタイ人の趣味としてジャズやロックの名盤をレコードで収集することが流行っている。 SNSにコミュニティーもできていて、日々名盤レコードがアップされている。庶民には手の届かない値段の楽器もけっこう売れているそうだ。その割にはNU-JAZZとかNu-Soul的なバンドはまだ見たことがない。音楽大学を出ているジャズの基礎を勉強したリッチな若手ミュージシャンは多いし、若い連中はオシャレさんが多いわけだし、服装もばっちり決めてタイ語でオリジナル作って演れば良いのに…と思う今日この頃だが、総じてこの街ではFUNKやSOULといったブラックミュージックを聞く機会が少ない。理由はわからない。

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