An "I " Novel from The City Of Angels

Diary 『バンコク在住日本人ギタリストの日記』

幸運な男

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昨日、POOKのことをブログに書いて数十分後にPOOKからメッセージ。

『KOTA!セッションしよう。今レコーディングの為に1ヶ月だけタイに帰って来てるんだ。Tommyの部屋に泊まってるからセッションして録ろう』

『いつがいいの?今日か週末なら行けるよ』

『今日!今から!』

『おお!?マジか!…OK!タイミングいいし行くわ』

てな感じで即決して部屋の掃除を終えてから機材を携えてOn Nutの奥にあるBrown Stone Studio/Ageha Cafeへ。

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Soi On Nut のスカイトレイン付近は日本人も多いエリアなんだけど、ソイの奥の方は完全にローカルエリア。アクセスが悪くていつも渋滞している界隈なんだけど、最近はなぜかミュージックショップができたり新しい小奇麗なインターネットカフェができたりしていて微妙に賑わいつつある。一軒家を改造した施設で1階にカフェバーとスタジオとGallery スペース、2階には部屋がふたつがあって、TommyとJoeはここに住んでいる。庭にも席があって、今の季節は気持ち良い風が吹いていてゆっくり飲めるし、ノイズミュージシャンでもある店主の選ぶマニアックな音楽が結構な音で流れている。

前回JAMで共演したときはコーヒーミルで轟音のノイズを奏でつつコーヒーを淹れて最後にみんなでまわし飲みっていうパフォーマンスをしていてだいぶおもろかった。彼は少し変わった雰囲気のアンビエント系のイベントをオーガナイズしているので是非呼んでくれと頼んでおいた。来年出演予定。

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店の隣にはライブハウスもあってそこに続く路地の入り口にミュージックショップがあるのでアクセスの悪さ以外はミュージシャンが住むにはパーフェクトな雰囲気のスポットだ。昨日も庭で犬やら子猫が駆け回っててタイの若いミュージシャンや近所の子達がパソコン広げてまったりしていて良い雰囲気だった。

ここができたばかりの頃にJoeにガーデンパーティーに誘われて、オープンセッションでTommyとSticky Riceのメンバーと初めて会った思い出深い場所でもある。Sticky Riceはバンコクに来て面白いタイのバンドをさがしている時に既に見ていたので、現場で会った時は『おおっ!本物発見!』って感じだった。

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そんなわけで昨夜はひたすらセッションを録音した。音源が数時間分はあるだろうからどこかは使えるだろうって感じだ。昨今の録音の時は俺はとにかく深追いしずぎずにいろいろなフレーズを放り込んでいく。大概の場合は後でPCで編集するので、ネタとして使えそうなフレーズを切り取りやすいように、且つ軽くなり過ぎないよう適度な深さまで掘り下げる感じ。何度も何度もやったので後半はふたりとも楽しくなってしまって原曲から逸脱して別の曲になってたけど…。まあ新曲のネタになるかもしれんし悪くはない。ただ、選ぶために聞き直すのが大変なだけである(笑) POOKはぶっ飛んでいて普通の男ではないが、終始良い空気を醸し出していて心地の良い男だ。長年の相方のTommyとのやりとりも見ていて微笑ましくて時間を忘れて楽しい夜だった。ヨーロッパに帰る前にどこかでセッションしたいね…ってな話になって実現する方向で日程を考えている。面白いので実現したら遊びに来てほしい。

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なんだかんだで昨日もライブで出会ったタイの若い友人達とたくさん会った。4年間コンスタントに年間50本以上は演奏し続けているので、不愛想な俺でも流石に知り合いが増えてバンコクでは活動しやすくなってきた。来年は新作を携えて新たな展開をできるよう精進しよう。

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ともかく、これでバンコクに来た頃に映像やライブで興味を持ったタイのインディーアーティスト Stylish Nonsense のふたりに Sticky Rice の Pook と Tommy、T-BoneGOLFさんや Yui Cello さんと共演して、おまけに作品のレコーディングにまで参加しているわけで俺はとても幸運な男だと思うの今日この頃である。

 

2017年12月

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Photo) Session at Bar 12×12 (BKK/Thailand) 2017/12/09(SAT)

常夏の国の1年は早い。季節が無いのでなんだかわからないうちに過ぎていく。今年のライブを数えてみたら今決まっている年内のスケジュールを合わせて67本だった。5月からはフルタイムでやれていないのでちょっと少ないが、今年も生き延びたってことで最悪の状況ではない。俺を呼んでくれた皆様には本当に感謝しています。これからも俺にしかできない演奏を提供できるように日々精進したいと思っています。

写真は先週土曜日の真夜中のセッション。パーティーの主催者のHexthree のメンバーにStylish Nonsenseのふたり、それに俺とヨーロッパからたまたま遊びに来ていたジュリアンってベーシストも混ざって国籍もジャンルも世代もいろいろで良い空気感だった。この日のお客さんはみんなすげえ若かった。俺は多分店にいた全員の中で最年長(笑)ギター弾いてなかったら絶対出会わないだろうな。機材トラブルやら演奏中の停電やらあったけどそんなことはタイでは良くある話で気にしても仕方ない。転んだら立ち上がってまた歩き出せば良いだけである。下の映像は停電で唐突にブラックアウトする。そのままループを回し続けて復帰した瞬間に演奏再開したけど消えた瞬間はかなりびっくりした。

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開始前にサウンドチェックしてたら出演してる若いミュージシャンがかぶり付きでワークショップみたいで笑えた。タイ人だけでなくバンコクで出会う新世代のミュージシャン達はみんな礼儀正しくて洒落てて可愛らしい。パンクの連中でも同じである。面倒な奴を見たことが無い。ミュージシャンと言えば変わり者で面倒な連中ばかりってイメージを持っている旧タイプのミュージシャンである俺は、ここのところ頻繁に『時代が変わったんだなぁ』としみじみ思うのである。出会った中でアクの強い連中は大概同世代だし(笑)それと、やはり移動が簡単ってアドバンテージはでかいなぁと思うんだけど、20代のバンド連中が頻繁に他の国にツアーに出ている。もちろんアジアの国からこの街にもたくさん来ている。別の国で演奏する経験や他の国のミュージシャンと関わることで得られる情報はとても多い。確実に創作活動に良い影響を与える。羨ましい限りだ。世界が広いってことを体感するだけでも十分意味があるし。

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1年前の今日の今頃はフアヒンのサウンドライブラリーという店のパーティーに出演するためにWOOT ROOTのJoeと仲間たちと車で向かっていた。この1年の間に会場の主のPOOKはポーランド人の嫁さんとヨーロッパに移住してしまったが、クリスマス辺りにまたフアヒンで演奏する機会をもらえたので楽しみ。しっかり決まったらまた告知します…って日本語のこのブログ見てタイのフアヒンに来るってのは稀な話だよな。

自分の背丈よりも長いドレッドヘアーを持つタイで出会った中で間違いなくNO.1に個性的で面白いミュージシャンPOOKはヨーロッパに移住してからの方が水を得た魚のように生き生き活動していて面白い。背も高いし絵になる男だ。タイで彼の本質的な音楽をやるのは難しかっただろうし、大変だろうけど良かったなぁと思う。

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しかしすげえ髪だよな。怪獣みたいやわ。

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Yusef Lateefの音楽に刺激されたのか窓の外からええ感じで鳥の囀りが聞こえる。今タイは本当に良い季節だ。遊びに来るなら今くらいから1月中が最高。

 

 

SUNNY DAY SUNDAY ~バンコクの日常のお話~

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個人的なタイの日常

今日も良い天気だ。今週はライブ無し。崩れ切った体調を整えるのにちょうど良かった。今日は音楽と関係ない日常的なことを書いてみる。でもまともな暮らしぶりとは言い難いのであまり参考にはならないだろう(笑)

朝起きてしばらくぼ~っとした後、毎週運河の端の広場で開催される日曜の朝市で朝飯とTシャツを買って来た。Tシャツ2枚で330円くらい。一般的なタイ人向けの服はとても安い。工場流れの品物だろうな…ってな感じだけど選べば普通に着られる。ただ、露店の場合は保存がどうなってるのかわからないので、一度洗ってから着用しないと縫い目に南京虫が潜んでいる可能性があるので危険。甘く見ると2週間くらい痒くてひどい思いをすることになる。暑い国なので汗をかくたびに叫びたくなるくらいかゆい。ちなみにこれに一番効くのはショウガをアルコールに漬けたタイの薬だった。市販のかゆみ止めでは全く効かなかった。

食事は1人前40バーツが基本。日本円130円くらい。ただ、化学調味料使用しているし油があまり良くないので多分身体にはあんまりよろしくない。とにかく安いので300円も出せばフルコースって感じ。お菓子やケーキも売っているが口に合わないだろう。特にケーキは冗談ではなく眩暈がするくらい甘い。毎夕この市場で飯を買うが、生の肉や魚には巨大なハエがバンバンたかっていて潔癖症の人にはたまらん苦痛な光景やろな。生カエルが腹を上にして山盛り並んでいるし、コオロギが箱の中にうじゃうじゃいてリンリン鳴いてる横で新鮮なまま素揚げにされて売っていてタイらしい光景ではある。ここからほんの百メートルの場所には洒落たワインバーや高級レストランや会員制クラブが建ち並んでいて、そんなエリアにこの市場があるって現状がバンコクの貧富の差とかタイの都市計画の適当さを象徴していて気に入っている。

市場のすぐ横には建築現場で働いているミャンマーカンボジア人の住むバラックが並んでいて小さなスラムを形成している。その一角のすぐ横には現在高級コンドミニアムが建設中である。トンローと言うエリアは日本人街と言っても良いくらい日本人だらけだが俺の住んでいるエリアにはあまりいない。同じエリアなのに家賃が10倍以上違うわけで、生活レベルが違うので買い物の場所から違うので当然そうなる。

最近ではほとんど友人と会う余裕すらなかったので昨今のバンコクの日本人社会についてはほとんどわからない。相変わらず日系の店は増えているし(もちろんその分潰れてもいる)日系のホテルも進出している。日本フェアみたいなものも多いし、よほどの政治的な変化が無い限りはタイは観光地、移住先として良い国なんだろう。

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普段の1日

朝5時に起きる。日本時間の仕事をしているので朝が早い。就職するか起業しないとビザとWP(労働許可証)が手に入らないので出たり入ったりしないと行けなくてかなり面倒だ。金もかかるし落ち着かない。昨今は取り締まりも厳しいので出たり入ったりもそう長くは続けられない。いきなりもう入れないから出て行けと言われるとそれまでの苦労もあっという間に水の泡である。定着するならばとりあえずこの点だけは押さえた方が良い。金がある奴は何も気にしなくて良い。半年タイで遊んで残りは周辺国を周遊していれば問題ないからだ。

さておき、仕事に向かうにはバスとBTSバンコクスカイトレイン)を使う。駅までのバスは片道7バーツ(24円くらいかな)の赤バスBTSは片道23バーツ(70円そこそこ)で4キロくらいなので涼しくなると運河沿いを歩いて通う。バスはクーラー無しなので渋滞時は暑さと排気ガスで息苦しい。雨の日は蒸し暑いし渋滞で進まないしで最悪だ。それでもお客さんはみんな整然と乗っている。タイの人は基本は列に並ぶし騒がずおとなしく待つので気が楽だ。みんな身綺麗だし問題はない。問題は運転の荒さ。乗ると座る前には走り出す。急発進。ガンガン飛ばすし車線変更も気儘でいきなりだ。チケットは無くて朝は運転手が集めに来るか降りるときに払うかで気分次第なので決まっていない。ちなみに、他の路線バスを使った時も案内に出ていた行く先について乗ってから車掌の女性に聞くと『その手前までしか行かないよ。降りてから他のバスさがしな(タイ語)』ってな感じで不愛想極まりない。英語は一切通じない。まあ乗って降りるだけなのででかい声で行く先を連呼していればそのうちたどり着けるが…かなり面倒くさい。お客さんは親切な人が多いのでお客さんに聞く方が良い。BTSとMRT(地下鉄)は問題ない。すべて案内が出ているし英語も通じる。ネットで見れば駅も全部出ているので必ず着く。クーラーも良く効いているしマナーも悪くない。

仕事をして昼休みになると向かいのビルの地下にある食堂に行く。これまた40バーツくらいで食べられる。ただし昼時に行くとパニックである。長蛇の列で席の取り合いに相席当たり前。慣れないとわけがわからない。でもオフィスワーカーがひしめき合う光景は現在のバンコクの一つの側面としては見て面白い光景なのかもしれない。日本人はアジアの他の国を基本下に見る傾向があるので、商売をしようと考えている人は考えの甘さを矯正するには良いかもしれない。日本は下り坂の年寄りだ。今では他の国の方が伸び盛りだし勢いがある。整然としていることが必ずしも良いわけではないと最近よく思う。ここでも目につくのは騒然としているけどやいやい言いながらも譲り合って収まっていくタイ人の一見バラバラのようだけどそうでもないという独特の協調性。篇に我慢ばかりしなくても最終的にはどないかなるんやなといつも感心する。我慢ばかりさせられて細かいことばかり気にして病気みたいになるよりはぜんぜんマシだ。

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先週の金曜にコンビニでコーヒーを買って店の前で飲んでいた時に盲目の夫婦がタイでよく見る電車遊びの体制(奥さんが杖を持っている旦那さんの肩に手を置いて縦列で歩く)で歩いてきた。朝の道は露店がたくさん出ているので障害物が多いので歩くのには危ない。すると新聞売りのおじさんが手を引いて目的地まで連れていく。旦那さんは買い物に店に入る。奥さんは外で立って待っている。おじさんは自分の露店から椅子を持ってきて奥さんを座らせる。旦那さんが出てくると奥さんは椅子を持って露店の叔父さんに返しに行ことする。おじさんは走って来て『ありがとう』と言って夫婦も『ありがとう』と言ってまた電車状態で歩き去る。こういう光景は日常的にあらゆる場面で義務的では無く自然に行われる。こういう部分が日本人がここに定着できる一番の理由だと思っている。当たり前に自然に行われる気遣い。良い国だ。

オフィスに戻ると夕方まで仕事。終わると帰りは1時間ほどかけて歩く。運河沿いまで街中を歩くと夕刻の回転に向けて店が慌ただしい。道は裏通りまで大渋滞。タイの道は日本の道のようにつながっていない。道の作り方が適当なので憶えるまでは行ったり来たりしながらだいぶ時間がかかった。それと、基本的に歩くように作られていないのでいきなり歩道が無かったりするのは当たり前。横断も大変。排気ガスもひどい。なので、運河沿いの遊歩道に着くとホッとする。イスラム教徒が多いので学校帰りのヒジャブかぶった女学生や仕事帰りの姦しい集団やおしゃべりをしているおばちゃんたちの間をブラブラ歩く。おばあちゃんが洗濯をしていたり爺ちゃんがじっとタバコを燻らしている。歩行者を縫うようにしてバイクがバンバン走ってくる。運河を船が行き交い跳ね上がる汚水を避けながら30分程歩くと市場に着く。夕方の市場は足の踏み場もないほど込み合っている。ゆっくりと歩きながら今夜の飯をさがす。露店の不機嫌な顔をした体格の良いおばちゃんの子供が10分の1スケールのミニチュアみたいで不機嫌な顔まで瓜二つで可愛らしい。足元を猫が走り抜ける。態度のでかい犬が道の真ん中で寝ている。みんなそれを踏まないように避けて歩くくせに人間は避けない。下町のサインは野良犬、野良猫、半裸のおっさんだ(笑)仏教系の入れ墨だらけのおっさんが屋台の人でごった返す軒先で車座になって飲んだくれている。夕食を手に入れると市場を抜けて、船が通ると汚水が2mほど跳ね上がるアクションゲームのような難所の橋をタイミングを見計らって順番に走り抜ける。するとスラムの商店と食堂が見えてくる。作業服を着たミャンマー人の独特の言葉が耳につく。食堂の太った毛玉のようなヨークシャテリアが猫を追って走って来るがめちゃめちゃ遅い。それを見て笑っていたら食堂のおばちゃんと目が合ったのでご挨拶。食堂のおばちゃん達はとてもたくましくてきりりと男前揃いだ。ここを抜けるともうアパートだ。アパートの前にある店でいつも座っている少し惚けが始まっている可愛らしいおばあちゃんに挨拶をして店主の双子のおばちゃんの片方に声をかけてビールを買う。アパートのセキュリティーと目くばせであいさつを交わしてアパートのオフィスのオーナーとアニメ声の娘さんと挨拶をしてエレベーターホールへ。帰宅。

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こんな感じで普段の俺の1日はとてもシンプルだ。ライブがあればこの後機材を担いで再びごった返す市場を潜り抜けて出かける。夜のバンコクの繁華街はまたぜんぜん違う顔を持っている。多種多様な人種に多種多様な個性が渦巻いていてまさにカオスって感じで以前にも書いたが90年代のサイバーパンク系映画の近未来都市みたいな光景がみられる。日本では繁華街の外れに住んでいたのでこの街のネオン街のど真ん中に住んでみたいという欲求が疼くときもあるが、それはもう少し落ち着いてからだな。

11月のスケジュール後記

写真は12×12の時のもの。11月最後のライブはインディーロック系のイベントに触発されたのか懐かしのシューゲイザー的な音でちょっとツインピークスって感じの導入部の後は流れでポストロック→ノイズってな感じのけっこうわかりやすいセットだった。アメリカのインディー映画のクルーがイベントのドキュメンタリーを撮っていて、なんだかいつもよりもさらに雑然とした雰囲気だったけど、混沌=バンコクって感じではあるし、昨夜の会場はパッポンのゴーゴーバー Black Pagodaなわけで、気を使うことはまるでなく、ただ好きに弾いて場のテンションを作る役目を楽しんだ。途中からはノイズセットの様相になって最後はギターの弦も切れ飛んでチューニングべろべろで不協和音にハウリングノイズって状態で終了。高速ビートのノイズ演奏をやるとギターを叩き折ってみたくなるが、長年の相棒335はちょっとした衝動では流石に叩き折れない。

最後のバンドまで見て、その後夜中3時から8キロの道のりを機材を担いで2時間かけて徒歩で帰って来た。ギャラが週明けてからの振り込みってことで単純にタクシー代が無かったのである。今月はマジで修行でしかなかった。なけなしの金を払ってギターを弾いて歩いているようなもんで精神的にもとてもきつかった。2日間飯を食っていない残エネルギーゼロの状態で今朝明け方に帰宅して背中のギターを置いた瞬間、身体を壊す前にブッキングのやり方を変えようと真剣に思った。今もそのまま飯を食っていないが、限度を超えてしまって空腹を感じていないだけである。もう少しきっちりやらないとめちゃめちゃ働いてるのに飢えて死ぬことになる。シンプルに危ない。てか最低限飯は毎日食いたい(笑)

Woot Root at Black Pagoda 

今月は9本弾いたんだけど、カフェやBARやギャラリーでやる ambient/chill out set と Loud/noise set とが完全に別テイストになってきているので、このまま両方詰めていく方向。毎回ライブが終わるとドラムマシンを使ってみたくなるんだけど、これ以上演奏方法を複雑にするのも鬱陶しいし何より重たいので保留している。小さい現場で使うならば明らかに i-pad のほうがイージーだしソロの仕事を増やすなら後者だな…。

Solo at Fatty's Bar

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今月から導入した TC Electronic のFlashback 2 Delay は音が良くてかなり便利。俺はまだ機能を把握できていないが、フットスイッチが特殊だったりセッティングを読み込んだりもできるようだけどまだぜんぜん把握できていない。とりあえずかけときゃええ感じの音色になるので演奏をサボってるような気分になるが、その分他のことが弾けるので結果は良好。

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マロン君とやった初セッションはゆるくて良い感じだった。同い年ってのはけっこう関係あると思うけどナチュラルに音が馴染む感じの時間があった。またそのうちやってみたい。

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ドキュメンタリーはインタビューも収録するらしい。英語だよな…英語で音楽について話すのってきっついなぁ。

 

 

 

8 days a week

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今夜は歓楽街パッポンのゴーゴーバーBLACK PAGODAで開催されるロックなパーティー【THE LAST GONG】WOOT ROOTとして出演。先週土曜からライブ4本。うち6日間は昼の仕事も普通にしていたので現在おっさんはマックス疲労困憊だが最後に出る元パンクスで現在エレクトロをやっているファランの友人が軽くギターを弾いてくれと言う。今夜の俺の出番は最初なので待ち時間が長いし仕事でもないし面倒極まりない。基本的にインディーバンドマンと音楽フリークの友人というのはろくでもない頼みしかしてこないもので、俺の職業的音楽活動においてはマイナスしか生まない。金銭面であきらかにマイナスで、現場での扱いも悪い。向こうはその場でしっかり稼いでいたりするのであきらかにうまく使われているわけで気分も悪い…にもかかわらず頼みを断らないってのはもはや悪癖の類で自分でも意味が解らない。考えなしにやりすぎて現在生活に思いっ切り悪影響が出ているので、いい加減にせなそのうちほんまに死ぬなぁとリアルな飢えを感じつつ自己マネージメントについてシビアに反省しているまっ最中である。今月はひどい状況だ。ライブをやるほど追い込まれていく。腹が減った。飢えるって本当にしんどい。思考が荒れるし省エネの為なのか視野が狭くなる。数カ月かけて蓄えた贅肉がもうほとんどなくなった。

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さておき、水曜に出演していた Fatty's の主でミュージシャンのマシュー・フィッシャーが今日は出演者。彼のギターの音色を聞くとアメリカのルーツ音楽をしっかり消化しているなぁと…っていうかアメリカ人なので彼にとっては自然にあるものなんだろうけど、弾き方とか佇まいとかいろいろ感心してしまう。今夜はフルバンドらしいので楽しみだ。ルーツがあるってのは揺ぎ無い安心感があって良い。

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映像のSofar Soundって企画は洒落てたし面白かったし出演してみたかったが、スポンサーが付ききらずあっという間に終わった。理想主義で良い空気感のイベントだったので残念だが、商売っ気がないからこそ良い空気で、だからこそ終わってしまったわけで、いろいろ難しいもんである。昨今は音楽は最近はファッションとセットになった一種のオシャレアイテムなのでミュージシャンもイメージ戦略やら人付き合いで大変だ。肝心の音楽を練っている時間すらないだろう。

この前もPokさんといろいろ制約が多くて目的が濁るから店じゃない場所でやる方が良くない?ってな話をしていたんだけど、スポンサーだとか店だとか金絡みのいろいろな奴らに対してうだうだ考えてるうちにいつの間にか肝心の中身について忘れられているみたいな事が多すぎるし、いっそバンコクではそこら中にある廃ビルの一室を一晩借りてシンプルにスペース+サウンドシステム+アーティストで酒は主催が売るってのがええ感じちゃうかな…とかね。まあ言うのは簡単やるのは大変。

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とりあえず今夜もノイズセット。いってみよう♪

 

Become alone

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別の街にツアーに出ると必ず返ってきた後でもやもやする。それは初めて同じようにツアーに出た時から同じだ。街でイベントやパーティーに音楽を見に集まる人たちは皆似ている。そして大概音楽を良く聞いていて、今まで聞いたり見たりした様々な音楽と比較しながらより深いものや先鋭的なアプローチに感嘆する。小さな町では違う。いつもはライブに集まらないような人が来ていることが多いので、よりシンプルでハッキリした効果を与える音を奏でる必要がある。それはみんなが知っている歌とかいう安易なことではなく、あらゆる人に同じように届く音という意味だ。音楽を良く知っている人にも知らない人にも平等に届く演奏だ。街でばかり弾いていると気づかないうちにこねくりまわしてしまって見えにくい音になる。今回もお客さんたちの反応でそれをダイレクトに感じたもので、途中でやり方を変えようとしたが完全には切り替えがきかなかった。もう何十年も弾いていて理解していたつもりがまだできていないのか…と自分のふがいなさにもやもやしたのだ。ホームで演奏をしているうちにいつのまにかゆるんでいた背中のゼンマイをギリギリと巻きなおさなくてはいけないようだ。ただ、細かい部分ではギターは年始より確実に上手くなった。トラックのバランスやデザインも以前より整っている。でも、だからなんなんだ?って感じが最近常にしているし、そろそろシーソーを逆に戻す時期なんだろう。技術ではなく表現に振り切った演奏に。

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この街では色々なタイプのハイレベルなミュージシャンと出会うが、おれのやりたいことはどうやらミュージシャン的ではないようで、その距離は年々開いていっているように感じる。もちろん基礎技術やハーモニー等々学ぶことは多いし皆を見習っている部分は多いし、それは今からも変えるつもりはない。しかし、ソロステージは自分だけのものなのだ。もっと自分の思うがまま演奏するべきなんだろう。ミュージシャンであろう、上手くやろうとし過ぎてコアな部分が出ていない。それが今回ツアーで得た結論だった。俺はギターインプロヴァイザーなのだ。それで良い。

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Trip In Chiang Mai 後記(少々毒入り)

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TOUR  DAY.3  Thapae East - venue for creative art-

もう3回目の出演になるThapae East - venue for creative art- にてソロかと思いきや数日前に突然パーティーに変わった。もう通いなれた感じもあるので何の問題もなくゲストハウスについてチェックインして荷物を整理して会場へ。

会場は既に準備が整っていてフードコーナーが設営されていてフリーフードにフリードリンクが振舞われていた。幟まで立っていてそこにはTED CHIANGMAIの文字が…あれ??ライブイベントじゃないのね…と思いつつパーティーは始まったわけだが、やはりなんか雰囲気が違う。どう見ても音楽のイベントじゃないなこれ…どないやねん?と始まった2組の地元ミュージシャンも少し散漫な演奏。まあいいや。俺はいつものようにしっかりやろう、とセッティングを終えて演奏を開始しようとすると外でマイクで喋るから少し待っててねと言われて待機…しようと思ったがなかなか始まらないし目の前には結構な数の若いお客さんが演奏を待っていてくれてけっこう集中しているし、時間も既に少し押している…と思ったら手が動いて勝手に弾き始めていた。最初の5分間でみんなが身を乗り出す感じが伝わって来た。『よし。いい感じで掴んだぞ。いける』と思ったら外から入って来たオーナーに演奏止められた。そこから30分以上店の外でああだこうだと地元の名士やファランの商店主達のご挨拶。その間ひたすら待たされる俺と会場内の音楽を聞きに来てくれた若いお客さん達。外と内でお客さんの目的と年齢層が完全に分離していた。プラスティック製品を使わないようにしましょう!ってのは良いお話だけど正直邪魔だし商売っ気が強すぎて嘘臭い。タイに来てから適当なのと金持ちの偽善臭さにはだいぶ慣れたけど、1カ月前からこの日にライブブッキングしていたわけだし、後から乗って来て好き勝手するのやめてくれんかなおっさん…とさすがにイラつく俺。見てくれていたチェンマイの女の子が送ってくれた下の写真でも顔の端々に微妙に怒っている感じが…(笑)

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軽く30分以上は経って俺の演奏予定時間が終わった頃に『さあ張り切ってどうぞ!』って言われたけど、カバーやコピーちゃうし一度無理に断ち切られた集中力とか道すがら作ってきた1時間セットの構成のイメージも壊されてしまったし、もう一度弾きながら並行して組みなおすのが大変やっちゅうねん。ああ、もちろんやるよ。見に来てくれてるし。でも俺は『タダ酒飲んで小屋にも入らずに自慢大会してるお前等の為に弾いてるんちゃうんやで~目の前の若い音楽好きの為に弾くんやで~俺はお前らに今回一緒にやりたいとは一言も頼んでへんし、ノイズセットやって今回も警察呼んだろかこの礼儀知らずの田舎者ジジイ共が…』と黒い怒りが荒れ狂う心中を抑え込んで再度ご挨拶して『じゃあ、もう一回集中して音楽を』と、演説中にじっと演奏の再開を待っていてくれた皆さんへのMCと共に演奏開始。

まあなんとか怒りを演奏に出さずにやり切った…はずだ…多分。部屋の中は満員でしっかり聞いてくれたので良かったが、最初に切られたセットの導入部がとても美しかったのでその続きのセットは幻になってしまったわけで残念だった。マネージメント無しで全ての場を整えるってのは本当に難しいと痛感したステージだった。とりあえず近所の集会なのかライブをやるのか目的ははっきりしたほうが良い。付け合わせに使われるのはほんまに好かん。だいたいプラスティックストローより前に解決すべきことがこの国には山のようにあるだろう。結局プラスティック製品の代替品を売りたいだけの偽善者ばかりだった。薄っぺらくて反吐が出るぜ。最後にサックスバンドがセッションしていたのでいきなりラストに直でアンプに突っ込んで乱入(笑)『やっほ~い!』って感じで弾いて明るく終了。いくら怒っていても音楽をやれば最後は楽しい気分になれるってのは我ながら単純で良い。

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DAY.4 

上の写真はTHE FACES https://www.facebook.com/thefaceschiangmai/という洒落たレストラン。屋内は改装中でガーデン部分のみ営業中だった。同じ敷地内にあるClay Studio Cafeという素敵な庭のあるカフェでやる予定だったが土壇場でうだうだしだしたので交渉して、夜にレストランのこれまた手の込んだ造りのガーデンで弾かせてもらった。チェンマイはブッキングが決まったと思ってもぜんぜん安心できないのである。今回も2箇所続けて時間も内容も変わってしまった。いきなり連絡した俺の話を受けてくれた若いオーナーMigさんの広い心に感謝である。お店の改装が完了したらチェンマイの若いジャズミュージシャンにオファーを出す予定だと言っていた。素晴らしきかな。

演奏は8PMスタートできっかり2時間ノンストップのアンビエント/チルアウトセット。最初はパラパラって感じだったけど途中で満席になった。演奏に引かれて入って来てくれたお客さんも数組いて、俺のところまできて笑顔で親指を立てて『Good!』って感じで帰っていく姿が嬉しい反応だった。昼間電話交渉中に『よくわからないけど君の音は僕の店に合いそうかい?』と聞かれて『絶対に合う。君の店のオリジナルサウンドトラックみたいな演奏をやる。音量もコントロールするから大丈夫だ』という強気のやり取りをしていたし、全くライブ仕様ではない場所でアンプ一発で演奏しているわけで、今までになくものすごく気を使って弾いた。色々な国から観光客が来ていたし、俺の演奏を見に来てくれた人もいた。怖い顔にならないように半眼で口だけ笑って客席を睨みつつ展開を作って必死でギリギリの音量のコントロールをしているうちにこめかみが痛くなってきた(笑)ライブハウスで爆音の演奏をするよりも、実験音楽としてギャラリー等で奇天烈なノイズセットをやるよりも、こっちの方がよっぽど実験的やで…と思った次第。どんな演奏だったかは携帯の充電が切れてて録っていないのでわからないが、まだまだ改良の余地はあるが、確実にやれるってことはわかった。挑戦的で結構面白いし。即興でもアブストラクトでもドローンでもノイズでも、気持ち良ければジャンルは関係ない。良い空間と時間をシェアできればすべてはうまくいくのだ。良い経験だった。オーナーもスタッフも最初はこの日本人は何をやる気なんだろうって顔で不安そうだったが、最終的には雰囲気が良かったので問題なかった。とにかくやらせてもらえて感謝である。次は改装が終わってから正式に頼んでみよう。

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DAY.5 

最終日はSTUDIO THREE。ここでは11時~17時までの時間を使ってソロアンビエントセットとセッション。この前は基本ひとりで弾ききったが、今回はゲストが来てくれていたので空気も変わって単純に助かった。ひとりで6時間はさすがに長い。長すぎると連日の疲れが溜まって来ているので集中力が持たない。

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JIRO OHASHIさんのセットはCDJにミキサーにシンキングボールとドラをたくさん並べた面白いセットだった。静謐なイメージの音響系のセットの最後が『カスバの女藤圭子からの竹内まりあで終了って流れで、シンガポール人の音楽好きの男の子がどういう意図なんだろうって混乱してた(笑)藤圭子ってのは亡くなる前の奇行のイメージが強いけど、ものすごい威力のある声と抜群の歌唱力と世界観を持った天才歌手なので、1曲でそれまでのセットの流れを一発でひっくり返すくらいの威力は確かにあった。正直、作り手としてではなく歌手として比べれば娘より段違いにスゴイと思う。さておき、俺はスタートに90分のソロを1セット。OHASHIさんのソロを挟んでセッション40分。

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最後は60分のソロ。終わった時に5日間の集中が解けて頭から血がサーっと下りていく感じがした。そんなわけで5日間の演奏は終了。

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最後のセット。最終日はFBでライブ中継してみた。音質はともかくこの機能は上手く使うと面白いと思う。最終セットは1曲目に映画音楽の『スパルタカス・愛のテーマ』をゆるゆると弾いて8:50くらいから一気にインプロに突入したが、そこからの方がトラックが整理されている感じがするのはなんで?って感じだった。途中で沖縄っぽいの弾こうと思い立って弾いたのがジッタリン・ジンの懐かしいヒット曲のメロディーだった事に後で気づいて笑った。さておき、今回のツアーは全体的にそんな感じがあって、今までやり慣れたある程度形のある曲よりも、その場の閃きでやってる曲の方が力があった。もちろん即興時にはわけのわからない展開もたくさんあって、それに関してはまだまだ技術的にも音質的にも仕上げられるのは間違いないけど、結局自分の演奏において何が威力のある音でお客さんに届いている音なのかをいろいろな人の前で弾いてよりハッキリと知った感があった。

良く考えたら5本中ライブ的なステージは2本だけで、後はライブ的では無い日常的空間に現れて好き放題弾いているだけである。結局、今回は毒づいていたチェンマイ1夜目のライブも含めてほぼ全部のライブが個人的な実験だったわけだ…と終了後のマキノ夫妻との打ち上げ後の酔っぱらった頭でつらつら思いつつ、『だから儲からねえんだよ』と深く反省したわけである。身を切って行った現場での実験の成果は来週のノイズマーケットでのソロセットで見られるはずである。多分(笑)

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チェンマイで泊まるゲストハウスは毎回良いんだけど、今回も安くて清潔で場所も便利でスタッフが親切で良かった。オーナーのおばちゃんが俺の名前を気に入ったらしく、やたらとコータコータと呼んでは話しかけてくるのが少し面倒だったが…(笑)

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シャンプーを忘れて買うのも面倒で途中から絡んで邪魔になったもんで髪をくくっていた。ギターを担いで降りていくと、宿のおばちゃんが『コータ!そのほうがいい。すっきりして男前に見えるからお金がいっぱい入るぞ!』とすっかり道でギターを弾いていると思われていた俺である。でも実はストリートミュージシャンを生きるための職業としてしっかり認識しているわけでやっぱりタイは素敵な国である。