An "I " Novel from The City Of Angels

Diary 『バンコク在住日本人ギタリストの日記』

Focus on

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来月は前国王の火葬が行われるのでバンコクはいつもより厳かな空気になるだろう。俺はと言えば9月の後半は本当にじっとしている。ちょっとした引き籠り状態だ。子供のころから定期的にやってくるもうどうでもいいって感覚。遺憾とは思うけどこの状態になると部屋で黙々と弾き続けるだけで外部からの刺激がない限り動けなくなる。バンコクに来てからは『何も起こらなければこのまま静かに消えてしまおう』と投げやりに思ったりするんだけど、今のところ誰かが呼んでくれるので弾き続けている。聞いてくれる誰かがいる限りはやるつもりなので部屋に籠っている間も音楽のことを考え続けているんだけど、延々と自問自答を繰り返しているような無為な毎日は俺が独りだからこそある時間で、ある意味贅沢だ。世間の人は日々忙しくてそんな暇はないのである。

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そんなわけでじっとしていたら、一昨日仕事から帰ってPCを開けてみると、amatuti dub drawing space https://www.facebook.com/kota.amatuti.taki/  のページにトルコはイスタンブールに住んでいる男から『コンピレーションアルバムに参加しないか?』というメッセージ。面識はないけど少し前にバンコクに来ていた時に誰かに聞いて俺のライブ映像を見たらしい。できるかどうかは置いといて即答で『やる。締め切りは?』って感じでやりとりは始まったが締め切りは月末とのことである。あと1週間で1曲録ってマスタリングまでやるわけで、今このブログを書きながら何をやるかとか録る時の段取りを考えつつ協力を頼んだ友人の返事を待っている状態である。できるかな。

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面識もないのでよくわからないが、どうやら実験音楽系のコンピのようなのでとりあえずアイデア勝負でこの前のバンコクの雷雨のアンビエントノイズを基調に仕上げる方向だけど、最近の俺がなぜ実験音楽やノイズの若いアーティストに呼ばれているのかがあいかわらず良くわからないので、先方の期待にこたえられるかどうかはわからないが、トルコ・イスタンブールの片隅でタイのバンコクで無名の日本人ミュージシャンが作った5分間の作品が誰かに聞かれるというだけで挑戦する意味はある。

現状で俺に一番必要なのは即日録音できる制作状況を作ることなんだなぁと痛感する今日この頃である。今月はもう1件、タイのダイレクターからショートフィルムとのコラボレーションを打診されたが、今の状況ではすぐに反応できないのである。録音機材があれば今のスタイルだと毎日作品が作れるわけだが、現状はサバイバルな状況である。とにかく現状を悩むよりやるしかないので、身の回りで録れる奴に協力を頼む方向で一個一個の作品に集中して作るしかない。

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バンコクは昨日今日と陰鬱な曇り空で昨日はアパートの前が冠水していた。まあ部屋から出ない俺には関係ないんだけど(笑)来週はタイの若手オーガナイザーの依頼でチャオプラヤ川の近くでイベントに参加する予定だ。俺の音は日本のお客さんには伝わりにくいようで、相変わらず日本人のお客さん皆無のイベントで演奏している場面が増え続けている。あまり普段から付き合いをしないのが悪いんだけど、納得のいく演奏をできてそれが伝わった時には、『同じ国から来た人にも聞いてほしいなぁ』と流石に思うのである。前回の帰国からそろそろ丸一年経つので少しホームシックなのかもしれない。

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少し晴れてきた。街の音を録りに出かけよう。