An "I " Novel from The City Of Angels

Diary 『バンコク在住日本人ギタリストの日記』

フラッシュバック

merurido.jp

日本にいる頃、多分10年ほど前だ。まだミナミの三角公園付近にあった Nu-Things で若い友人の主催したイベントに出た。お客さんがぜんぜんいないイベントでリハーサルみたいな感じだった(笑)お客さんがいない状況には慣れたもんだったが、時間が押しに押していて終電の時間が迫っていた。人がいないなんてのは関係なかったのできっちりテンション高く演奏を終えて、急いで機材を片づけようと335をギタースタンドに立てかけてアンプのスイッチを切った。すると、スタンドが壊れていたようで視界の片隅でギターがスローモーションで倒れ、床でバウンドした瞬間にネックがバッキリ折れているのが見えた。さんざんである。怒りのぶつけ所が無いし時間もないので完全にキレた状態でバックに機材を叩き込んでV字型にネックの折れた無残な愛機をギターバックに包んで帰ろうとすると、カウンターで飲んでいた気障なおっさんに呼び止められた。おっさんはまさにこの写真のポーズで『ん~君の音とても面白かった。でも君はこんなところに出てちゃだめだよ』と言った。俺は完全にキレていたし名前すら知らなかったけど小屋のオーナーだってことだけは聞いていたし、後輩の主催のイベントで怒鳴り散らして場を荒らしたくなかったので、『こんなとこってお前の小屋やろがい。お前の小屋の壊れたクソ機材のおかげで俺の大事なギターが折れたんじゃボケ』と怒鳴りつけたいのをなんとか飲み込んで、数秒睨みつけただけで一言も返さず無言で帰った。その後、日本を出てしまったので二度と会っていなかったが、前回帰国時に移転したNu-Thingsにはアクセスして弾かせてもらった。相変わらず独特の雰囲気でかっこいい小屋だったが、残念ながらそのおっさんはいなかった。

Nu Things FB Page>> https://www.facebook.com/groups/367809489955350/

Web Page ↓↓↓↓
nu-things.com

今日、阿木譲さんという方の訃報が先輩の記事でたくさん上がっているのを見てなんだか気になってネットで調べて写真を見たらまさにそのおっさんだった。今日初めて名前を知った。いろいろな意味で強烈な思い出だ。もう一度会って話してみたかったな。合掌。