An "I " Novel from The City Of Angels

Diary 『バンコク在住日本人ギタリストの日記』

久々の単なる日記

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写真はオーバーステイでのライブショット。今月末に10周年の大きなパーティーに出演する。山盛り出演者がクレジットされているが、間違いなくカオスな状況になるだろう(笑)完全に目をつけられている店なので警察の乱入だけが心配だ。

最近の暮らしぶりは早朝に仕事に行き夕方に帰宅、夕景を見ながらギターを弾き(雨季なので大概豪雨に雷って感じだが…)午後9時過ぎには寝て深夜2時過ぎに目覚める…というわけのわからないサイクルになっている。歌詞を書いていた頃は真夜中に歌詞を書くとファンタジーすぎて気持ち悪くて使えなかったので夜中の作業はアカンと思っていたが、右脳だけでイメージだけを追いかける分には静かな夜中の作業は悪くない。

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今週、バンコクに来て丸7年を迎えた。この国で演奏活動を始めてからはほぼ5年である。30年以上弾き続けて相変わらず売れていない俺のスタンスはほぼ変わらないし代り映えの無い5年間だが、若い連中の5年は激動だ。売れたやつ、止めたやつ、別の仕事で成功したやつ、相変わらずのやつ…。Woot Rootで5年間付き合いのあるインディーロック系のコミュニティーのライブパーティーにこの前出演したが、20代~30代に移行した連中は禿げたり腹が出たり子供ができて一気に老け込んだりで皆大変である。生活に追われて音楽にかけるエネルギーが一気に落ちるのはこの時期だ。大きな壁みたいなもんだ。そしてこの時期にたくさんのミュージシャンが夢を諦めて去っていく。同じような光景を何度も見ているので、パーティーの様子を俯瞰で眺めながら『あいつは残るな…あいつは消える』ってなことを冷静に考えていた。

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5年前はキレキレのベースを弾いていたフィリピン人の友人と久しぶりに会って挨拶を交わすと、

『KOTA、久しぶり!相変わらずたくさんライブやってるな。俺は子供ができて忙しすぎてなかなか演奏ができないんだよ…結婚なんてするもんじゃないよな(苦笑)』

と言うので、俺はいつものようにストレートにそのまま返事をする。

『子供ができたんだろ?写真見たぞ。素晴らしいことだよ。おめでとう!儲からない音楽より家族を持つ方が人生としては間違いなく正しいだろ。家族がいるのは羨ましいよ。俺は相変わらずひとりだし何も持ってない』

『子供はもちろん可愛いよ。でももっと音楽もやりたいんだけどね』

『やってるじゃん』

『でもKOTAと比べるとぜんぜんやってないし…』

『俺と比べるなよ。俺は変人だし(笑)』

彼は諦めたような呆れたような複雑な表情で俺の肩をポンポンと叩くと歩き去る。

よくある光景だ。

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この街ではスターになるか金持ちの子息か音楽好きの金持ちの首輪付き…みたいな状況でない限りはコピーやカバーをやらないとステージで稼ぐのがなかなか難しい。これはどこでも一緒だろうけど東南アジアは観光客相手の演奏が多いので特にその傾向が強い。少しずつ状況は変わりつつあるがミュージシャン達も端っから諦めムードなので良い音楽が生まれるわけもなく、出会った頃はオリジナルをやっていた連中も今ではすっかりカバーを中心のセット構成になっていたりする。今さら何も言わないが、内心は毎回ガッカリしている。特に、才能あるなぁと思っていた奴のステージがそんな方向に変わっているとすぐに見るのを止める。知ってるだけに後でキツいことを言ってしまいそうで嫌なのだ。皆それぞれの事情があるわけで悪いことなんて言いたくもない。少なくともみんなは俺よりはまっとうな人間なのでおこがましいし。あと、実際にその方がウケるし女の子にモテるので仕方ない(笑)バンドを始めるときの理由なんて単純で、モテたいって欲望が前面に出ている奴を見るとそれはそれでおもろいもんだ。

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間も無くバンコクの街も夜が明ける。今やっていることを完遂したら一度日本に帰るつもりだけど、もう俺の知っている街ではないんだろうな…とよく考える。ご先祖様には漂泊の人生をおくった人物がいるらしいが、俺もこのまま彷徨い続けるのかね…。

まあいいや。深く考えてもろくなことはない。