An "I " Novel from The City Of Angels

Diary 『バンコク在住日本人ギタリストの日記』

Become alone

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別の街にツアーに出ると必ず返ってきた後でもやもやする。それは初めて同じようにツアーに出た時から同じだ。街でイベントやパーティーに音楽を見に集まる人たちは皆似ている。そして大概音楽を良く聞いていて、今まで聞いたり見たりした様々な音楽と比較しながらより深いものや先鋭的なアプローチに感嘆する。小さな町では違う。いつもはライブに集まらないような人が来ていることが多いので、よりシンプルでハッキリした効果を与える音を奏でる必要がある。それはみんなが知っている歌とかいう安易なことではなく、あらゆる人に同じように届く音という意味だ。音楽を良く知っている人にも知らない人にも平等に届く演奏だ。街でばかり弾いていると気づかないうちにこねくりまわしてしまって見えにくい音になる。今回もお客さんたちの反応でそれをダイレクトに感じたもので、途中でやり方を変えようとしたが完全には切り替えがきかなかった。もう何十年も弾いていて理解していたつもりがまだできていないのか…と自分のふがいなさにもやもやしたのだ。ホームで演奏をしているうちにいつのまにかゆるんでいた背中のゼンマイをギリギリと巻きなおさなくてはいけないようだ。ただ、細かい部分ではギターは年始より確実に上手くなった。トラックのバランスやデザインも以前より整っている。でも、だからなんなんだ?って感じが最近常にしているし、そろそろシーソーを逆に戻す時期なんだろう。技術ではなく表現に振り切った演奏に。

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この街では色々なタイプのハイレベルなミュージシャンと出会うが、おれのやりたいことはどうやらミュージシャン的ではないようで、その距離は年々開いていっているように感じる。もちろん基礎技術やハーモニー等々学ぶことは多いし皆を見習っている部分は多いし、それは今からも変えるつもりはない。しかし、ソロステージは自分だけのものなのだ。もっと自分の思うがまま演奏するべきなんだろう。ミュージシャンであろう、上手くやろうとし過ぎてコアな部分が出ていない。それが今回ツアーで得た結論だった。俺はギターインプロヴァイザーなのだ。それで良い。

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