An "I " Novel from The City Of Angels

Diary 『バンコク在住日本人ギタリストの日記』

チェンマイ弾丸ツアーの顛末

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3日間で4か所。合計10時間の演奏。詰め込まれ過ぎていて何から書いたら良いのかわからない(笑)ねている時以外はずっと動いている感じなので観光要素は皆無。一応、道すがらチェンマイで一番気に入っているお寺にお参りだけはしたけど。

DAY 1

1日目はThapae East と Minimal Bar。ホテルまでは何の問題もなくスムーズに到着。部屋も値段に合わないくらい良い部屋でビックリした。少しゆっくりしてから夕方にThapae east に向かおうとタクシーかトゥクトゥクをさがしていたが見つからないうちに雨…ヤバいなと思ったら目の前にバイクが止まって『KOTAだろ?俺明日一緒にやるよ。で、どこ行くの?乗っけてくよ』ということで TuKu didgeridoo band のリーダーに拾われて現場へ向かう途中で一歩通行の罠にはまってぐるぐるさ迷っていると、ナイトマーケット付近でタイ式サイドカーに乗ったマキノファミリーに遭遇。雨中の車上から挨拶をかわしつつなんとか到着。19時から1時間のサウンドスケープ開始。12日の予定がキャンセルになって嘆くオーナーの Paul の為に無理やり弾きに行ったようなものだったし、早い時間の演奏だったので当然人は少なかったが、ウォームアップにしてはがっちり演奏できた。映像を撮ってもらったのでそのうち上がるだろう。

【追記】映像見つけた。

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慌ただしかったので写真は撮り忘れた。終了後すぐに Paul のバイクでMinimal Barへ。

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Minimal Barは全くコネクションが無かったが、面白そうだなと思ったのでいきなりメッセージを送ってブッキングしてもらった。予備知識ゼロで行ったんだけど、オーナーは音楽科のあるチェンマイ大学出身で Minimal Recordってレーベルもやっているってことでお店にもええ感じの雰囲気があって若い出演者の演奏スキルがものすごくハイレベルでびっくりした。出演者の中には前回演奏に行ったときにライブを見てくれた子やスタイリッシュ ナンセンスの友人のミュージシャンもいたりして、そんなこんなですんなりブッキングできたようだ。ものすごく礼儀正しい子たちで丁寧に世話してくれて恐縮した。ここでも1時間のチルアウトソロセット。お客さんにもスタッフにも楽しんでもらえたようでなにより。オーナーの奥さんが日本人女性で、出番前に旦那さんとの出会いの話を途中まで聞いて盛り上がりつつあるところで出番になってしまった。次回は続きを聞かなくてはいけない(笑)音楽やアートの好きな人の集まる良いお店だった。

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チェンマイのライブシーンは小さいんだけど、小さなコミュニティーの割にバイオリン奏者が多いのはチェンマイ大学があるからなんだろうな。とてもロマンティックで劇的でチェンマイの空気に良く似合う。

DAY 2

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2日目はSu-Jay Gallery&Music でのソロアンビエント&ライブペイントとのセッション。これも急に決めたのにあれよあれよと言う間にイベントになって出演者多数で楽しい夜だった。昼間は人が少なすぎてひとりで演奏しているみたいな時間も多かったけどそれはそれで面白い音が出ていた。最近、ライブでのアンビエント演奏のコツみたいなものを掴みつつある。ただ、それには状況の設定が必須でもある。ライブは観てもらうものでアンビエントはそこに在る音なのでまるで別物。ライブバンドの音楽と混ぜるべきではないのだろう。なので大事なのは状況設定だ。さておき、宴の夜は徐々に人も集まって最終的には1枚目の写真のような良い景色になった。

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今回紹介してくれたチェンマイのアーティストTAWくんのおかげで前回出演したけど今は無くなってしまったGossip Barで会った歌い手のポーやその仲間たちも集まって、ミュージシャンの宴会みたいで楽しかったな。みんないろいろな仕事をしつつ音楽でもきっちり稼いでるので力強いベーシックががっちりあってもちろん上手い。初対面で最初少し壁を作っていた気難しそうな奴が、演奏を聞くと笑顔になって急に壁が無くなる感じが好きだ。初対面の挨拶の時に懐疑的な表情を見るとわくわくする。演奏を聞けばきっちり音楽をやってきた奴かどうかってのはわかるもんだし、絶対に伝わるはずだと思うからだ。そうやって楽器弾き同士は結びついていく。

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昨年からイサーンソウルシンガーとしてじわじわ有名になりつつある Rasmee Rasmee Isan Soul のバンドのギタリスト Kong satukan がタイの伝統楽器ケーン奏者とやったユニットの音楽が繊細ですごく美しくて良かった。ケーン奏者のスキルの高さも半端なかったし。バンコクに来る時は連絡をしてもらうので、機会があったらバンコクでイベントに出演してもらおうと思っている。

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あと、前回も会って思ってたんだけど、ギタリストでマルチミュージシャンでもある Pod Chiangmai(下の写真) のプレイも良かった。単純に好みだ。センス良いしキャラも最高に立ってるし目が離せない。

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この日来ていたお客さんからついさっきメッセージですごく良い雰囲気のライブスポットを紹介してもらった。次回は11月の予定で1週間で7本くらい演れる感じやけど、俺のスケジュールを作るのが無理そう…まあ焦らずぼちぼちやるさ。

DAY 3

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3日目は古民家 Sriprakart House Chiang maiを改造したオーガニックレストラン STUDIO3 での演奏。写真の美しい光景の中に実際は黒服のおっさんが入るわけだが、昼から5時までの間にソロのアンビエントセットを4回って感じでひたすら演奏していたので写真が無い(笑)

1、2セットは食事中のお客さんが多かったので繊細に緩やかに。3セット目は演奏を期待しているお客さんの為に少し派手目。最後は夕刻なのでドラマチックに…って流れ。年配の方や子供が目の前にいたので特に我慢に我慢を重ねて抑制を効かせて弾き続けた2セット目のエンディングに実験的且つチルアウトで今まで一度も弾いたことのない良い演奏がやれた。その場に完全に溶け込んだある意味理想的なアンビエントセットだったけど、うまくいきすぎてマキノ夫妻以外気づいてくれていないので自画自賛しておく(笑)この家のオーナーである上品なご婦人も楽しそうに最後のセットまでフルセット聞いてくれていた。やっぱり普通の皆さんにわかりやすくない音楽を聞いてもらう為には、繊細なコントロールができることはとても重要だ。荒っぽい演奏は当然拒絶されるし、ゆっくり飯を食ってるときには鬱陶しいだけだよな。俺でもそう思う。

良い経験をできた。呼んでくれたマキノ夫妻に感謝。自分の理想の音を実現する為にはまだやれることがたくさんあるのである。特に公共の場所においての演奏の可能性と、まだまだステージの数が足りていないことを感じた。これってマネージメントの問題だよな…どこかに所属するべきなのかな…それに追われて音楽について考える時間が削れてしまうと本末転倒なので難しいところだ。

その他

帰りは飛行機がディレイでえらく待たされた。今後 air asia は極力使わない方向だ。ありゃろくでもない。ドンムアン空港に着いた頃には既に動き続けた身体の節々に疲労から来る痛みが…おっさんの悲哀。今月は29日にオランダはアムステルダムから演奏に来るギタリスト Arvind Gangaとの共演が入った。なんだか面白そうな奴だ。デン・ハーグで撮られた野外での演奏の映像を見たら、途中から犬がノイズに興奮してずっと吠えていて笑えた。そんなことをしているうちにその彼からメッセージが届いて『Hey!楽しみにしてるぜ!』『おう!俺もだぜ!』ってな感じで軽々とボーダーラインを越えて俺たちは日々音楽でつながっていくわけである。悪くない話だ。

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