バンコク在住日本人ギタリストの日記

バンコクの日々の出来事やタイの音楽情報

今の俺だからこそわかること

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少し前にバンコクのホテルの屋上のルーフトップバーでの演奏を依頼された。俺がメインでもうひとり日本人DJは誰かいないか?と言われたので腕が良くて空気も読める若いDJを紹介した。最終的に店のマネージャーが『ミュージシャンはいらないんじゃない?よくわからない音楽だし。DJだけで充分だよ』と言って俺はカットされた。会話の内容は想像だけど、内容はほぼあってるはず(笑) いろいろなBARのイベントにミュージシャンをブッキングする仕事をしているニュージーランド人のその若い友人が、『すまない。俺はKOTAの音楽がめちゃ好きだからマネージャーにビデオも音も聞かせたんだけど…またイベント用意するから許してくれ』と謝って来た。『別に問題ないよ。気にするな。向こうの望んでいることは解るし、謝る話じゃない』って返したんだけど、彼はとても素直な男なので、前回彼の頼みで出たイベントでお客さんがかなり盛り上がったし、いつもほぼ無償で友達としてヘルプしてるのでたまにはいいギャラの出る仕事を…と張り切ってくれたのが結果カットで気にしているようだった。残念ながら俺をブックする場所を間違っただけで気持ちは受け取ったので本当に問題ない。 観光地バンコクスクンビットエリアの洒落たルーフトップバーのクソ忙しいマネージャーにとっては、音楽は基本なんでもいいのである。予算内でお客さんがゆっくり飲めて盛り上がることもできていろいろな雰囲気を味わえて…ってことだ。この仕事にはDJの方が向いている。もしくはヒット曲を歌う歌手やスタンダードをやるミュージシャンだ。誰も知らない音楽を演る男をそこに置くのはリスクでしかない。正直、俺がマネージャーでもそう考えるだろう。当たり前のことである。もし、万が一ここで冒険をしてくれるマネージャーがこの街にいるならば、もちろん俺は面白がってその場に向けてできる限り良い音楽を演奏する努力をするだろう。でもそれは状況的に難しいし、無理してやる必要もないことだ。

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そう話した後でもまだ気にしているようだったので、最終的には『俺はこんなことで傷つくほど若くないし、自分のブッキングは自分でやってるから本当に気にしなくていい。DJが必要なら日本人の腕の良い奴を紹介するし、俺の演奏が必要なときは言ってくれたら行く。これはFriendshipだ』と伝えた。ブッキングも俺ひとりでやるより誰かが話を振ってくれる方が選択肢も増えて充分ありがたいし。今日はそんなこんなで1本消えたけど自分で3本決めたし、過去に受けたオーディションでも受かったり落ちたりボロカス言われたりもしてるし、そんなことは本当にどうでもいいのだ。基本的にこれは音楽の話ではなくて仕事の話なので向こうにもいろいろ都合がある。この街だけでも本当にたくさんのスタイルのミュージシャンがいるし、俺は人の曲をほとんどやらない我儘ミュージシャンなので本来は断られて当たり前。通ったらラッキーってな感じだ。

バンコクで出会った俺の若い友人達はだいたい心根が良い。バンコクの夜を泳ぐには気が良過ぎるかもしれないけど、少々段取りやらグダグダでも最終許せるのは、まだ音楽に夢を見ているかわいいところがあるからだ。厳しい世界やけど、みんながんばっていきましょう。いいこともあれば悪いこともあるさ。

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若いミュージシャンはこういうことを拒絶されたと受け取ってとてもナーバスになったりするけど、必要以上に気にする必要はない。世界は広くていくらでも弾く場所はある。音楽に興味のない人もいれば人生の真ん中に音楽を置いている人もいる。自分の音を追いかけて、諦めずに手を伸ばし続けることが一番大切なことだ。

 

ずっと人前に出て弾いてりゃ細かいことはどうでもよくなる。

長年さらし者になってきた俺の心臓には既に剛毛が生えていて今では何も感じない。