An "I " Novel from The City Of Angels

Diary 『バンコク在住日本人ギタリストの日記』

across the border

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Photo วัดพระปฐมเจดีย์ราชวรมหาวิหาร Nakon Patom 

SNS等は問題なかったけどなぜかブログだけ写真があげられなくなってちょっと更新が止まってしまった。一昨夜はナコンパトムで演奏した。もうめでたくもないがその日は俺の誕生日だった。ナコンパトムはバンコクから車で1時間ほどの場所にある 世界最大の仏塔 と、美術と考古学で有名な シラパコーン大学 のある街だ。良質な豚肉でも有名らしい。残念ながら慌ただしくて食べられなかったけど。

1年ちょっと前に仏塔を見に行ったことがあるが、ライブは初めてだった。少し前にピン・クラオの The Overstay のイベントで共演した若いロックバンドのドラマーが俺の音を気に入って呼んでくれた。雨の金曜日でバンコクは名物の大渋滞だった。間に合わないかとバタバタしたが、アパートの近所のおばちゃんやその友人のタクシー運転手の親切のおかげでなんとか間に合った。

会場の Light My Fire https://www.facebook.com/LightMyFirePage/ はとても良い雰囲気の店でたくさんの音楽の好きな若いお客さんが集まってリラックスして楽しんでくれた。最後は共演したバンドとRock'n Rollをセッション。明るくて良いイベントだった。アーティストやミュージシャンを目指す学生が多い街ってのもあって、バンコクでのライブより一生懸命聞いてくれている感もあった。移動でバタついて疲れていたが、良い空気に触れると自然と機嫌が良くなるもんで、写真の俺はわかりやすくご機嫌な笑顔。帰って来てからFBにこんな感想を書いた。

昨夜のライブは会場にいた人が俺以外みんなタイ人だった。バンコクでライブ活動を始めた時から、タイで活動するからには昨夜みたいな景色を見たいと思って弾いていたので、帰りのタクシーの中でとても幸せな気持ちだった。最近少しメロディアスなアプローチをしているけど結局ほとんど即興演奏だったし、初めての場所で俺の音をほぼ誰も知らない状態なのでちょっとした緊張感があったんだけど、何か伝わったってことは空気でわかるもんだ。正直ホッとしたし嬉しかった。

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かなり若いんだけどブルースロックのカバーとオリジナルをやっていた。俺がガキの頃に先輩達に教わったような曲だ。みんな演奏力はかなり高い。

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店先にスピーカーが吊ってあって結構な音量が出ている。演奏が終わってから外に出たら道を挟んだ別の店のお客さんから拍手をもらって後程FBにメッセージが届いた(笑) 日本だと近所の店に通報されて即アウト。少しずつ厳しくなってるけどタイはまだ寛大。

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バンコクは外国人がとても多いので、客席がタイ人ばっかりってことはなかなかない。特にオリジナルを演るイベントでは必ず外国人が混ざっている。会場に俺以外100パーセントタイ人のお客さんという状況は本当に初めてだったんじゃないかな…なので本当に印象的だった。終わってからも閉店までお客さんや共演したみんなと話したりしながら平和に過ごせたし、記憶に残る一日だった。

 

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友達に向けて演奏するな!

昨夜もBARにたまたま居合わせた若い友人に尋ねられて同じ内容を話したが、俺はバンコクではセッション以外では最低限しか日本人と組まないようにしている。理由は単純でここがタイだからだ。外国で同じ国の人間で固まっていると輪が固く閉じてしまう。この状態でイベントを繰り返すと右肩下がりになるし、他の国の人にすれば居心地が悪いので集客に良い影響はほぼない。日本で活動している時もジャンルごとに固まって閉鎖的になっていくのが嫌で、今と同じように意識してひとりでアウェイに出向くという動き方をしていた。群れが好きじゃないっていう偏屈で面倒な性格のせいももちろんあるとは思うけど、友達の為にだけ演奏していると自然と『身内受け』を意識した威力の無い音になっていくのが嫌だ。とにかくこれが一番最悪だ。

過去にそうやって音楽を始めた頃に持っていた無垢な輝きを失くしていったミュージシャンを何度も見た。『学生の部活やサークル活動みたいな音楽をわざわざ会場に足を運んで金払って見たい奴がいるか?なんでオリジナルを作り始めたのか思い出せ!』と何度も言ったことがある。ガキの頃はのぼせ上って 俺 vs 世界くらいの気分だったはずだ。いわゆる中二病みたいだけど、やるからにはこれが正解だ。いつの日か俺がこの気持ちを失くしていることに気づいたら、その時点で演奏活動を止めようと思っている。

ちなみにあくまで心意気で実際に傲慢に振舞えという意味ではない。それをやるとほんまの阿呆で鬱陶しいだけなので、あくまでこれは心意気の話。

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もちろんバンコクで活動している日本人のDJや楽器弾きの友人やオーガナイザーには活動初期からいろいろサポートしてもらっているし、きっかけをもらっているのでとても感謝している。必要とあらばいつでも貢献するつもりだ。ただ、本当の意味でイベントに貢献するってのは俺が演奏することでその場に新たな交流が発生することだと思っている。最低限その集団ににとって異分子/非日常であることも必須だ。これは色々な場所で演奏して結果を出して名前を売ることでしか実現できない。その為には常に友人の輪の外側に意識を向けて腕を磨いて輪を広げ続けなくてはいけない…とか偉そうなことを書いてはいるが、俺は既にがっつりおっさんなわけで、華はないし愛想もないのでものすご~く地味な歩みにならざるを得ない。なので、貢献するにはまだまだ足りてない感は正直めっちゃある。兎に角、これからも精進することだけは約束するので、必要だと思えば呼んでください。

本日は以上。