An "I " Novel from The City Of Angels

Diary 『バンコク在住日本人ギタリストの日記』

The Knack Market in Wonderfruit

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まず一言で言うと今回のお仕事はおっさんにはかなり過酷だった。段取りがグダグダでぜんぜん時間通りに進まないっていうタイのいつもの光景はさておき、長距離移動と歩いて機材運搬するだけでがっつり肉体労働。砂地で車輪が埋まってしまうので20キロ以上のエフェクターをずるずる引きずってギターを担いでの行き帰り3往復。そこに容赦なく照り付ける直射日光も加わって初日から修行の様相だった。おまけに初日は演奏終わりでパタヤからバンコクに演奏しに戻ったので、普通に考えれば無茶なスケジュールである。そんなわけで、今朝は全身がまんべんなく痛くてぬおおおと唸りながらベッドから起きた。改めてミュージシャンは体力仕事やなぁと思った次第。ビッグステージの出演者の皆さんはもちろん移動その他はきっちりケアされてるけど、大観衆の前で歌って踊って煽って飛んで走りまわってという感じでハイエナジーでギラギラしていて普段から鍛えていないと絶対にあんなことはできない。俺は演奏中はほとんど動かずに弾いているだけなので、そういう意味ではサボってるみたいなもんである。日々衰えるばかりやねんから地道にワークアウトしろよってことで反省である。

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ステージはマーケットの主催者でタイの著名な建築家ドゥーアンさんのデザインしたパラシュートテントの下に設営されていた。陽が落ちてライトアップされるとより素敵な空間になった。

今回は同じステージに出ていたタイの友人、HONONとYAANのみんながいたおかげでなんとか無事に過ごせた。普段から一緒のステージに出演する機会の多い彼らの優しさにはいつもとても感謝している。彼らの助けがなかったらいろいろヤバかった。2日目に見た日本からのスペシャルゲスト MAIKA さんは演奏を始めるとタイの女の子たちの心を一瞬で掴んであっという間に人が集まってきた。華があるってのはああいうことを言うんやな。中盤にやっていた派手目のトラックの曲で久しぶりにTOKYOの音を聞いた感じがして地味に懐かしがっていたら、YAANのトミーが『KOTA!これまさにTOKYO SOUNDだな。懐かしいだろ?』とそのタイミングで言ったもんでびっくりした。魅力的なキャラクターに良く練られた完成度の高いトラックにフレンチポップスみたいな力の抜けた個性的な歌声。良いライブだった。流石。

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Wonderfruit は世界で一番ラグジュアリーなフェスと言われているらしい。タイ版のバーニングマンを目指しているって話も聞いたけど、よりハードコアで反商業主義でお金の使用、物々交換すら禁じているバーニングマンとは主旨が違うし雰囲気も違ってラグジュアリーって表現がしっくりくるライトな華やかさ。羽根飾りにカラフルなドレスにフェイスペイントってのが定番ファッションで、特に女性はとにかく着飾っていてきれいな子が多かったし素晴らしいパフォーマーもたくさんいた。何もない場所に突然現れる洗練されたデザインの各種ステージと凝りに凝ったデザインのBARやワークショップエリアのデコレーション、各ブースでは派手に着飾った男女が思い思いにすごしている。巨大なオブジェやインスタレーションアートも素晴らしい作品が多くて充実していた。夕刻には毎日低空でセスナが飛びまわり、ドローンもそこらじゅうで飛びまくっている。設備やゲストアーティストに関しては金に糸目をつけていないが、フェスの中で過ごすという意味ではまったくお客さんのことは考えていないってのもタイらしくてまさに貴族のお遊び。思っていたよりぜんぜん人が少ないなと思っていたら、大規模フェスだってのに会場周辺の数キロ圏しか案内の看板も出していないしネットにも会場の情報がサイアムカントリークラブって案内しか出ていないらしい。これは税金対策で興行として利益を出す必要がないからだってな話を聞いたけど、あながち間違いではないように見えた。政府に許可を取っていないイリーガルなフェスだって噂まである。これはさすがに嘘っぽいが、普通に予算は云々とかまともなことを言っていたらあんな大規模な遊びは実現できないだろうし、もしこれが本当に個人的な遊びなんだとしたら、お客さんの事よりも先ずは自分の理想的なフェスを実現することを第一に考えるもんだろう。

結局一番の問題だったのは不十分な状態でフェスにひとりで参加しているっていう己の状態だった(笑) 暇やけど居心地は悪いし喉は乾くし始終落ち着かないしで精神的にキッツい感じになった。せっかくのお祭りなので誰かと一緒に参加して一緒に楽しむ方がぜったい良い。彼女とでも遊びにくればファンタジーな感じで絶対に盛り上がれるだろう。ひとりで過酷な現場っていうネガティブな心境じゃ楽しめるわけがない。次はコンディションを整えてめっちゃ楽しんでやるつもりだ。

ひとつだけありえないと思ったのは、水を完全に管理されていること。ゲートの持ち物検査が厳しくて水は全部入り口で没収されて、中でけっこうな値段のワンダーフルーツ印の水を買うことになる。俺は一応出演したマーケットから出してもらえたが、それでも十分な量の水がなかったので水の事を考えている時間がけっこうあった。酒が高いのは仕方ないと思えるけど、暑い国なので水をコントロールするのは危ないしあかん。最低限そこは考えるべきだろう。

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最終日の演奏中に急に思い出してメロディーを弾いたnujabesの曲。誰が歌ってるんだっけ?と思って帰りに調べたら『四季の歌』だった。改めて聞くと後ろの音が何から何まで違ったけど。ともあれ、好きなメロディーを弾くのは楽しい。お店でチルアウトセットをやるときの為にいろいろ思い出して取り込んでみようと思っている。

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なんだかんだあったけど素晴らしいアーティストを見られて勉強になったし、参加できて良かった。新しい目標もできたし、これを機にまだ進化できるだろう。

 

相手に伝わらなくてもいいんだと思って純粋さをつらぬけば、

逆にその純粋さは伝わるんだよ

岡本太郎

 

本日は以上。