ワンダーフルーツで快適に過ごす方法
金の事など気にせずVIPチケットを購入してとにかく思いっきりバカ騒ぎする
会場内の水、酒、食事はタイで普段購入する値段の3~4倍くらいが目安です。ちなみにシンハービール(350ml缶)が180バーツ。カップラーメンに湯を注いでチャーシューと練りもの等の具をのっけただけのクソ不味いラーメンも180バーツでした。しかし、日本でフェスに行くと思えば無茶な値段ではないはずです。ゲートでのチェックが厳しくて水や食料の持ち込みはほぼ不可能なので、思いっきり楽しむ為にはお金のことは一切忘れる方が良いでしょう。ガンガン使って快適に過ごしましょう。VIPチケットを購入すると明らかに扱いが違うようなので、VIPチケット購入も必須です。会場内では周りの事は気にせず自分勝手に好きに行動しましょう。日本人はどうしても周囲に気を使いがちですが、ここでは気にしたら負けです。別世界だと思い込んでください。
Sirajah Rockers
サービスは期待しない
現地のタイ人スタッフは地元から招集されて過酷な状況の中で働いているので消耗しています。なんなら軽く怒っていたりします。なので愛想もないし仕事も適当です。サービスって何?って感じです。でも怒ってはいけません。彼等はあまり良い扱いを受けていないので機嫌が悪いのです。彼らに怒っても双方の気分が悪くなるだけで意味はありません。せめてこちらは笑顔で対応して彼等を癒してあげるくらいの広い心で挑みましょう。ワンダーフルーツには自分はお客様では無くエキストラの一員だと思って参加するのが精神衛生上良いはずです。出店しているBARやお店のスタッフは外部の人間なので普通のお店と同じように相手をしてくれます。
YAAN
いつでも移動できるように車を用意してかわいい女の子と毎日ドレスアップして参加し、とにかくセルフィーを撮りまくる
タイの友人曰く、『ワンダーフルーツは音楽の為のフェスではなく着飾って写真を撮ってバカ騒ぎする為のイベント』です。なので、できるだけ着飾って参加する方が趣旨に合うわけです。羽根飾りか派手な帽子等のかぶり物、カラフルな羽織、ショートパンツ、スニーカー、フェイスペイントが基本スタイルです。要素を全部取り込みましょう。タイの女の子と一緒に行く場合は彼女たちは写真を撮られるのが大好きなのでいろいろな場所で写真を撮りまくってFBやインスタにガンガン上げましょう。会場を撮影しているセスナやドローンが飛んでいるのを見つけたら笑顔で大きく手を振りましょう。個人的な感想としては色目の派手な浴衣等の日本らしい衣装は受けが良いでしょう。和装に編み上げブーツにハットみたいな大正ロマン的衣装も良いかもしれません。暑さに耐えれるならば人気者になれるでしょう。街中では恥ずかしくて歩けない仮装レベルの派手さがちょうどよい感じです。衣装を着たら会場内ではキャラクターになりきりましょう。ちなみに黒い衣装はダメです。砂ぼこりで真っ白けになって見た目がよろしくありません。俺はいつも通り黒い服を着ていて、それはそれはえらいことになりました。
会場内での移動は電動カート等の設備をフル使用
ドレスアップしているので会場内の電動カート、ピックアップトラック等で移動する方が良いでしょう。普通のチケットでは歩かされるようなのでVIPチケットがここで役に立つはずです。自転車を持ち込むという手もありますが、会場は砂地の場所が多いので走りにくいと思います。
昼間はゆっくりくつろいで夕刻に会場入り
昼間はクソ暑いので消耗するだけです。気温の下がる過ごしやすい時間から参加しましょう。ただ、音楽の好きな人はメインステージで行われているアーティストのリハーサルを間近で見るという楽しみもあります。昼間は人が少ないしアーティストもリラックスしているので声をかけるとコミュニケーションを取れたりもします。その場合、大きくて派手な日傘を持って挑みましょう。
そんなわけで、ワンダーフルーツはFashion要素だいぶ多め + Art + Music という感じのラグジュアリーなフェスでした。
The Knack Market in Wonderfruit
まず一言で言うと今回のお仕事はおっさんにはかなり過酷だった。段取りがグダグダでぜんぜん時間通りに進まないっていうタイのいつもの光景はさておき、長距離移動と歩いて機材運搬するだけでがっつり肉体労働。砂地で車輪が埋まってしまうので20キロ以上のエフェクターをずるずる引きずってギターを担いでの行き帰り3往復。そこに容赦なく照り付ける直射日光も加わって初日から修行の様相だった。おまけに初日は演奏終わりでパタヤからバンコクに演奏しに戻ったので、普通に考えれば無茶なスケジュールである。そんなわけで、今朝は全身がまんべんなく痛くてぬおおおと唸りながらベッドから起きた。改めてミュージシャンは体力仕事やなぁと思った次第。ビッグステージの出演者の皆さんはもちろん移動その他はきっちりケアされてるけど、大観衆の前で歌って踊って煽って飛んで走りまわってという感じでハイエナジーでギラギラしていて普段から鍛えていないと絶対にあんなことはできない。俺は演奏中はほとんど動かずに弾いているだけなので、そういう意味ではサボってるみたいなもんである。日々衰えるばかりやねんから地道にワークアウトしろよってことで反省である。
ステージはマーケットの主催者でタイの著名な建築家ドゥーアンさんのデザインしたパラシュートテントの下に設営されていた。陽が落ちてライトアップされるとより素敵な空間になった。
今回は同じステージに出ていたタイの友人、HONONとYAANのみんながいたおかげでなんとか無事に過ごせた。普段から一緒のステージに出演する機会の多い彼らの優しさにはいつもとても感謝している。彼らの助けがなかったらいろいろヤバかった。2日目に見た日本からのスペシャルゲスト MAIKA さんは演奏を始めるとタイの女の子たちの心を一瞬で掴んであっという間に人が集まってきた。華があるってのはああいうことを言うんやな。中盤にやっていた派手目のトラックの曲で久しぶりにTOKYOの音を聞いた感じがして地味に懐かしがっていたら、YAANのトミーが『KOTA!これまさにTOKYO SOUNDだな。懐かしいだろ?』とそのタイミングで言ったもんでびっくりした。魅力的なキャラクターに良く練られた完成度の高いトラックにフレンチポップスみたいな力の抜けた個性的な歌声。良いライブだった。流石。
Wonderfruit は世界で一番ラグジュアリーなフェスと言われているらしい。タイ版のバーニングマンを目指しているって話も聞いたけど、よりハードコアで反商業主義でお金の使用、物々交換すら禁じているバーニングマンとは主旨が違うし雰囲気も違ってラグジュアリーって表現がしっくりくるライトな華やかさ。羽根飾りにカラフルなドレスにフェイスペイントってのが定番ファッションで、特に女性はとにかく着飾っていてきれいな子が多かったし素晴らしいパフォーマーもたくさんいた。何もない場所に突然現れる洗練されたデザインの各種ステージと凝りに凝ったデザインのBARやワークショップエリアのデコレーション、各ブースでは派手に着飾った男女が思い思いにすごしている。巨大なオブジェやインスタレーションアートも素晴らしい作品が多くて充実していた。夕刻には毎日低空でセスナが飛びまわり、ドローンもそこらじゅうで飛びまくっている。設備やゲストアーティストに関しては金に糸目をつけていないが、フェスの中で過ごすという意味ではまったくお客さんのことは考えていないってのもタイらしくてまさに貴族のお遊び。思っていたよりぜんぜん人が少ないなと思っていたら、大規模フェスだってのに会場周辺の数キロ圏しか案内の看板も出していないしネットにも会場の情報がサイアムカントリークラブって案内しか出ていないらしい。これは税金対策で興行として利益を出す必要がないからだってな話を聞いたけど、あながち間違いではないように見えた。政府に許可を取っていないイリーガルなフェスだって噂まである。これはさすがに嘘っぽいが、普通に予算は云々とかまともなことを言っていたらあんな大規模な遊びは実現できないだろうし、もしこれが本当に個人的な遊びなんだとしたら、お客さんの事よりも先ずは自分の理想的なフェスを実現することを第一に考えるもんだろう。
結局一番の問題だったのは不十分な状態でフェスにひとりで参加しているっていう己の状態だった(笑) 暇やけど居心地は悪いし喉は乾くし始終落ち着かないしで精神的にキッツい感じになった。せっかくのお祭りなので誰かと一緒に参加して一緒に楽しむ方がぜったい良い。彼女とでも遊びにくればファンタジーな感じで絶対に盛り上がれるだろう。ひとりで過酷な現場っていうネガティブな心境じゃ楽しめるわけがない。次はコンディションを整えてめっちゃ楽しんでやるつもりだ。
ひとつだけありえないと思ったのは、水を完全に管理されていること。ゲートの持ち物検査が厳しくて水は全部入り口で没収されて、中でけっこうな値段のワンダーフルーツ印の水を買うことになる。俺は一応出演したマーケットから出してもらえたが、それでも十分な量の水がなかったので水の事を考えている時間がけっこうあった。酒が高いのは仕方ないと思えるけど、暑い国なので水をコントロールするのは危ないしあかん。最低限そこは考えるべきだろう。
最終日の演奏中に急に思い出してメロディーを弾いたnujabesの曲。誰が歌ってるんだっけ?と思って帰りに調べたら『四季の歌』だった。改めて聞くと後ろの音が何から何まで違ったけど。ともあれ、好きなメロディーを弾くのは楽しい。お店でチルアウトセットをやるときの為にいろいろ思い出して取り込んでみようと思っている。
なんだかんだあったけど素晴らしいアーティストを見られて勉強になったし、参加できて良かった。新しい目標もできたし、これを機にまだ進化できるだろう。
相手に伝わらなくてもいいんだと思って純粋さをつらぬけば、
逆にその純粋さは伝わるんだよ
本日は以上。
今週末は3日で4本
17日は2本立て。それも同日にパタヤとバンコクでのライブってのはちょっと無茶な動きなんだけど、フェスへの参加が急に決まったので無理してでも動くことにした。明日はビザ延長の手続きで早朝からイミグレにも行かなくてはいけないので週末まで移動しっぱなしである。機材運びつつのひとり移動なので体力持つのかなって感じだが、とりあえずやってみるしかない。
同じステージにはタイの友人、World Music Dub バンド YAAN(ヤーン)と ハンドパンユニット HONON、そして日本から MAIKA LOUBTE という女性アーティストが出演する。しばらく日本の音楽をチェックしていないので定かではないが、映像とHPを見る限りこの子はメジャーアーティストだろう。ハーフで見目麗しく歌も上手いし英語もいけるようだし華がある。シンガー/トラックメイカーでバッファロードーターのメンバーともユニットをやっているらしい。日本でもCDが売れなくなっているようだし、若いアーティストは世界に打って出る動きが増えてくるんだろう。タイだけじゃなくて周辺国も含めてまだまだライブシーンは伸びていく。そろそろ終わりの見え始めた俺にはあんまり関係ないけど、日本の若いアーティスト達はこれからが楽しみだろうな。
17日から3日間毎日弾かせてもらうので、すべてのセットを違うアプローチで演奏する予定だ。やる曲が決まってないって無謀なスタイルは下手すりゃ俺だけだろうけど、たくさん人も来るだろうし、今後出演するステージを取る為にもリラックスしつつ気持ち良い演奏をしてみたいもんだ。さてさてどうなる…!? 結果は来週。
バンコクのライブスポット①
今夜は真夜中にインダストリアルなセッション。会場はThe OVERSTAYという昨年末に色々な意味で話題になったゲストハウスの1階のライブスペース。2年ほど前にチャイナタウンの古い映画館で開催されたパーティーに出演して以来付き合いが始まった小屋。バンコクアンダーグラウンドシーンの中でも特殊な連中で俺は結構好きでたまに素でイベントに遊びに行ったりもする。ビル全体がグラフティーだらけで猫や犬もいてヒッピーやバックパッカーが山盛り滞在していて雑然とした運動部の寮みたいで基本汚いので一般的な女性や真面目な方にはまったくお勧めできないという素晴らしいゲストハウスだ(笑) 出演している連中の音楽のジャンルは様々。バンドでもDJでもある程度の腕があって細かいことを気にしない奴ならば店と交渉すれば出演可能。お客さんには様々な人種がいるし良い経験になる。スタッフは親切でフレンドリーだし危険なことは何もないが、盛り上がりすぎるとたまに警察が来るので野生の勘で切り抜けましょう。場所はピンクラオというかなりローカルなエリアにあってタクシーで行くことになるがとてもわかりにくいのでドライバーに住所や地図を見せた方が早い。
地図
バンコクはオリジナルを演奏できる場所が本当に少なくてコピーやカバーじゃないと出演できない店がほとんど。少しずつ増えていっているが一進一退って感じで増えたり減ったりしている。
次の金曜日に出演するJAM CAFEはサトーンという地域のめっちゃローカルな路地にある。ここも初めていく時はとてもわかりにくい。
Jam Cafe Bangkok – Underground Music Venue, Emerging Arts Space
JAMもオールジャンルでDJもバンドも出演できるがステージはかなり小さい。小さいのに大きなスピーカーを導入しているところにオーナーのディヤンの心意気とオタクっぷりを感じる。色々な国から来たマニアックなミュージシャンが出演していて、ここで初めて出会った友人も多い。Galleryスペースもある。
結局は来て演ってみないとわからないとは思うけど、タイで演奏する手掛かりにはなると思うのでライブスポットをぼちぼち紹介していくつもりだ。
amatuti dub drawing space ①
少々変わった演奏スタイルなので、どうやって今のスタイルに?とか、何をどう考えたらあんなことに…というような、説明すると長くなりそうな質問を毎回されるけど、ライブの時はほぼ全編無言で終了後は疲れて酔っぱらっているので結局ほとんどまともにしゃべったことがない。そんなわけで今回は良く聞かれることについて詳しく書くことにするが、同じ楽器弾き同士でも何を言ってるかよくわからないと言われるので、楽器を弾かない人にはほぼ意味不明な記事だと思う。
俺はPOPSをやっている
アブストラクトとかノイズというと難解に思えるが、実際はそんなことはない。ほとんどの場合、難解なのは音楽ではなくて演奏しているアーティストの考え方や性格の方だ。俺は不特定多数の人に聞いてほしいので少し変わった POPS だと思っていつも演奏している。アホみたいな話だけど「そのうち地球に降り立つかもしれない宇宙人にも均しく気持ちよさが伝わるような音楽」を弾こうと山籠りまでして必死で考えて言葉のない決まった曲をやらない今のスタイルでソロ活動を始めたのだ。それ以前に精神的にかなりキツい状況に置かれていてそこから解放されたばかりだったので軽く頭がイカレてたのかもしれない。
ライブの冒頭に効果的な音を作ることができれば、『意味がわからない』ということが逆に聞いている人の想像力や感覚を活性化して一瞬で集中してくれるので、普通のギター演奏よりもぜんぜん簡単に心を掴める。あとはお客さんの脳に直接信号を送るようなイメージでエンディングに向かって連綿と音を紡いでいく。その後の演奏は現場対応で進める。いろいろな場面を作りながら進んでいってエンディングを作って着地する。POPSなので不快なアプローチはしない。一時、前衛芸術や現代音楽の方々やダークなノイジシャンともセッションしてみたが、負の感情や不快感を増幅するような表現が苦しいのでやめた。単純に性格に合っていなかった。
もちろんライブの前にシュミレーションは何度も行う。実際の演奏時間を想定して実際に何度も弾く。本番直前まで何度も頭の中で組んでは壊し組んでは壊しを繰り返す。各パーツは普段から何度も弾いて効果的なフレーズやリズムを身体で憶える。そして、それを本番前に一度きれいさっぱり頭の中から消去する。始まりと終わりには挨拶をする。でも演奏が終わるまで意味のあることを言わないほうが聞いている人の集中力が高まるので、できる限り言葉は発しない方が良い。
ライブが終わると毎回思い返して記憶する。記憶するのはフレーズではなくて流れとか雰囲気、テンポ。音が部屋のどこでどんなふうに鳴っているかを見て、光で描いた模様に見立てて立体体に記憶する。印象的だった共演者の音とかハーモニーも同じようにふわっと記憶する。細部のコピーはしない。そうやってインプットしながら毎日毎日弾き続けると、記憶した空気感が自然と自分の音に反映されていく。今までに1600回以上人前での演奏を繰り返したので、平坦に演奏するだけでいいならば5時間程度はノンストップで弾き続けられるだけのネタが頭の中にある。
余談だけど、かなり前にミュージシャンの先輩が超ひも理論というのを教えてくれた。これを読んで以来、突き詰めれば音は魔法だと本気で思っている。
なぜループマシンを3台も使っているのか
1台だとせいぜい2種類の長さのループしか作れないので単調。地味なレコーディング作業みたいな演奏を見せられてもみんな退屈。2台あればある程度見られる演奏はできるが、2台のルーパーの間に挟んだディレイシュミレーターとフィルター代わりのワウワウを通して弾いている音やループの音質を細かく変えたほうが各パーツの分離が良く、より複雑で立体的な音像を作ることができるのでセパレートで3台使用している。その結果、スピーカーから出た音が空間でぶつかってナチュラルにフランジングしたり弾いていないはずの倍音が発生する。これは場所やアンプの種類によって響きが変わるので未だに予想外の未知の音が出ることも多いので制御が大変だけど音色が特徴的でとても効果的だ。最近は1台でたくさんのループを作ってエディットできたりメモリーできる性能の良いお高いマシンが主流。昨年暮れのアジアのルーパー大集合のマニアックなイベントでマルチタイプのいろいろな機種のルーパーを見たが、マルチはどれだけキレイに音を積んでも結局平面的になる。音質はめちゃめちゃキレイで今っぽいけど、ライブでは威力に欠ける。結局使い方だとは思うけど好みじゃない。
なぜPCやドラムマシンを使わないのか
- 一応楽器弾きの端くれなので基本のグルーヴは自分で作るべきだと思っている
- ベーシックを機械まかせにするとカラオケみたいでめちゃかっこ悪い上にぜんぜん面白くない。どうしても必要な場合はトラックメイカーやDJにお願いする方が良い。
- 事前にやる曲が決まっていないので準備のしようがない
なぜ楽曲をやらないのか
ソロを始めた頃、ちょうど音楽のジャンルがファッションと連動した形で細分化が進んでいて、特徴的なレゲエやヒップホップ、ロック、パンク、だけじゃなくてダンスミュージックも様々なジャンルに分かれていた。演奏の始まる前にファッションで『あ、興味ないジャンルだ』とお客さんに簡単に判断されて気持ちを閉じられてしまうのが嫌だったし、どんなジャンルのパーティーにも出たかった。なので、誰も知らない音楽ならみんなスタート地点が一緒で逆に平等だろう と考えて曲を演奏するのをやめた。その前にメジャーでマーケティングが…とかターゲットは…とか言われながら洋楽のパクリ曲を作ったりしていたのでその反動もかなりでかい。そんなこんなでジャンル的特徴のない地味な黒い服と黒い帽子を衣装にして始めてみたら想像以上に面白かったし弾く場所もあったのでそのまま今に至る。最初はかなり厳密にルールがあったが、最近は細かいことは気にしていないので楽曲や大ネタのリフなんかも気にせず弾く。下の映像みたいに突然ドラムが入ってきてもひたすら弾き続ける。要はなんでもありだ。決まった曲があるとそうもいかないのでこれはこれでいいんじゃないかなと思っている。
本日は以上。
Wonderfruit music, arts and food festival in Thailand
3年前に始まったタイの新たなフェスティバル Wonderfruit: music, arts and food festival in Thailand に参加できることになった。2年前から出たいなぁということでタイの友人に聞いたりしてどうしたら出られるのかとさぐっていたんだけどまだ実現していなかった。2014年は友人のつてで資料を送るところまでいったんだけど、結局返事無し。2015年もぜんぜん声がかからず、今年も無理かな…とあきらめかけていたら、国王崩御の影響で12月から2月に日程が延期になった。延期の影響で出演者に欠員が出る可能性があるので追加の募集を見たらすぐに応募するつもりだったが何も見つからず、すっかりあきらめて、先月洒落たマーケットのミュージシャン募集に応募してステージを取った。そして先週末、The Jam Factory The Jam Factory, Bangkok: Warehouse Chic で開催された Knack Market Home page - The Knack Market というイベントに出演。ステージが終わったらひとりの眼鏡をかけたタイ人男性がステージに上がって来て突然俺に話しかけてきた。写真はたまたま友達が撮っていたその瞬間。俺は急にステージに上がって来た男性にびっくりして少し引き気味(笑)
『演奏面白かったよ。ワンダーフルーツ出ない?あ、俺ここのオーナー』
『え!マジで!!出る出る!』
『OK!じゃあ後で連絡するよ』
2年間がんばってもうまくつながっていなかったわけで、当然こんなにてきとうなやりとりで出れるもんか?と半信半疑で連絡を待っていた。
すると、今朝メールで本当にオファーが来ていた。
17~19の3日間1日1回ステージやれる?
え~!!3回もやっていいの!?もちろんやりまっせ!!という感じでめでたく出演決定。嬉しい。多分マーケットエリアのステージだと思うけど、大きなフェスの中で3日間ギターを弾くなんて仕事にはなかなかめぐりあえない。どこで誰と話がつながるかってのは予想できない。いろいろ画策してみたけど、結局直接ギターを弾いて見せるのが一番のプロモーションだよな。とりあえず俺はついてる。
Everybody Needs Somebody to Love
今回は音楽とは全く関係ない話。タイに30日間以上長期滞在するためには何の種類にしろビザを取得しなくてはいけない。各種ツアー、もしくは個人で一度ラオスやカンボジア等の周辺国に出国して各地のタイ大使館でビザを取得することになる。俺は格安のバスツアーでラオスの首都ビエンチャンに行くことが多い。格安ツアーなので片道10時間以上のバス移動ではっきり言って行き帰りがめっちゃ暇だ。ビエンチャンも田舎町でなんにもないのでとにかく暇。時間があるのでツアー参加者の他の日本人のお客さんの話を聞いたりして時間をつぶす。なので、このツアーで知り合いになってその後もお付き合いが続くということが多々あるわけだが、40代50代の真面目そうなおじさんから同じような話をよく耳にする。
わたくし今タイ人の彼女がおりまして、それがいろいろ苦労しながら家族の為に頑張っている健気な子なんです
このセリフをツアー中だけに限らずもう何回耳にしたかわからない。苦労話はタイの夜の女性が男を捕まえるときの必殺パターンで、苦労話で世界中から来るおっさん達の男気スイッチ(By 島田紳助)がオンになるかどうかを彼女たちは冷静に見ている。昭和生まれの日本男児は女性の苦労話にほんまに弱い。ここに来る前からそんな話を聞いていた俺ですら最初は盛り場で聞く苦労話に同情していたくらいなので威力は絶大である。夜の女性に免疫がない仕事一筋の真面目で純粋な男性ほど盛り場で手ぐすねを引いて待っている若くて可愛らしいタイの女の子に頼られると秒殺でハマる。なんやったら女の子よりきれいなレディーボーイにもハマる。昨今の中学生より確実に夢見がちなので、『俺が助けてあげないとこの子は…』てな感じである。純情なおっさんってのは多少気持ち悪いが、基本的にいいひとであることは間違いない。見事なカモだ。こうなると日々少しずつ身ぐるみをはがされていくので気付く人はある時点で気づくのだけど、とことんまで行く人は全財産をつぎ込んで金が尽きた時点で捨てられてバンコクやパタヤのビルから飛び降りる羽目になる。日本人に限らずファラン(欧米人)も飛ぶ。良くある話だ。
日本人の成人ならば誰でも知っている有名企業を早期退職して退職金を持ってバンコクにやって来た50代の男性の場合
バスツアーで一緒になったおじさんが後日突然仕事先に来て話を聞いてほしいという。
『彼女が一緒にお店をやるのが夢だというもんで、今物件をさがしているんです』
『え?それ大丈夫ですか?知り合ったのいつでしたっけ?』
『だいたい2か月前です』
『まだその子のことよくわかってないんちゃいます?もう少し付き合ってみてからの方がええんちゃいます?』
『いえ、彼女は私を愛してるといってます。大丈夫です。店が上手くいったら彼女の田舎の家族をバンコクに呼んで結婚しようかと…』
『いい話に水差すのもなんですけど、よく話に聞くヤバいパターンそのままですよ。慌てないほうが…』
『いえいえ!彼女に限ってそんなことはありません』
ー2か月後ー
『タキさん…』
『おひさしぶりです。どうしたんですか?』
『それが…お店を取られちゃいました』
『えええっ!?どういうことです??』
『あの後物件を見つけて契約してなんとか開店して1ヶ月ほど経った頃に彼女の夫だという男が田舎から来まして、いろいろ脅かされまして…追い出されちゃいました』
『えぇぇぇ…マジですか。 でもまだそれだけですんでよかったかもしれませんね。もっとひどい話も聞きますし』
『いやそれがそれだけじゃなくて…店の近くに彼女の名義でアパートも買いまして…』
『え!!!まさかそれも取られたんですか??』
『はい』
『いや~それはなかなかのいかれっぷりですねぇ』
『そうなんです…お恥ずかしい』
ーその3か月後ー
『タキさんおひさしぶりです!』
『ああ、久しぶりですね。その後いかがですか?』
『その後わたくし新しい彼女ができまして』
『…今回もまた盛り場でみつけたんですか?』
『そうです。でも今回は前とは違います。新しい彼女は病気のお母さんの為に頑張って働いているとても真面目な子です。お母さんの介護の為に看護婦になるのが夢で…』
『もしかして学費出しちゃってます?』
『そうなんです。卒業までは私が面倒を見てその後結婚をしようかと…』
『ええと…とりあえず気を付けてくださいね。アパートとか買っちゃだめですよ』
『もちろんです』
ーそしてその半年後ー
『タキさん』
『ああどうも』
『わたくし一度日本に帰ることにいたしました』
『そうですか …(またやられたな)』
おっさん浮かれるのはいいけどちっとは考えろ!!
誰がどう見ても阿呆である。世間知らずにも程があるし、一応こっちも真面目に忠告したのに1年以内に同じパターンを繰り返すってどういうことやねん!!とさすがにその時はイラっときたし、その後別の若い奴が同じようなことになった話も聞かされたりして正直考えるのが面倒になって記憶の中から消去しかけていた。
でもある時、『わたしは真面目一辺倒で生きてきて一度も恋愛をしたことがありません。もちろん結婚もしていません。このままではいかんと思って会社を辞めてここに来ました』と話していた場面がフラッシュバックして、何も起こらず誰も愛さずに終わる人生よりぜんぜん良かったのかもしれないと思い直した。ちょっとしたハプニングどころじゃなくてなかなかの修羅場である。長年一生懸命働いて貯めた金で何をしようと勝手だし、50年以上生きてきて何もなかったのに、わずか1年間で2度も若い女の子と付き合って修羅場ったわけである。向こうが金目当てであれなんであれ、真面目一辺倒のおっさんが若い女の子と恋愛ってのは日本ではまずありえない状況である。他人が何をしようと気にしない自由の国タイだからこそ起こる出来事だ。あの時のおっちゃんは確かにキラキラしてた。気持ち悪いしぜんぜんかっこよくないんだけど、悪い女にハマって振り回されて転げまわって死ぬまで堕ちていくのもひとつの選択だよな、と今は思っている。死なない程度にがんばってね、おっちゃん。